PR

▶【新刊】「旗当番の女5〜隠キャ男の元バリキャリ妻寝取計画〜」左右加だだす

「旗当番の女5〜隠キャ男の元バリキャリ妻寝取計画〜」

▶ 無料サンプルはこちら

 

 

 

 

「旗当番の女5〜隠キャ男の元バリキャリ妻寝取計画〜」

▶ 続きはこちら

 

 

 

 

 

 

===============================

旗当番の女5〜隠キャ男の元バリキャリ妻寝取計画〜

通学路の角で旗を振る斎藤渚、四十歳。朝の陽射しが彼女の白いブラウスを透かすたび、通り過ぎる車がクラクションを鳴らす。五年まえ、陰キャ男の田中港一に弱みを握られたのがきっかけだった。あれ以来、彼女は港一の言いなりだ。子供の進学、渚の再就職、家族の転居——すべてが港一の掌の上で回っている。

不況の波が齋藤家を呑み込んだのは、前作から一年後だった。航の会社はリストラを始め、給料は三割減。渚はパートを辞め、正社員として採用された。入社半年で主任に昇格。残業続きの航に代わり、彼女の給料が家計を支える。朝は旗当番、昼はオフィス、夜は港一の呼び出し。睡眠時間は四時間あればいい方だ。

港一は渚の母校の大学に合格していた。キャンパスでは友達もでき、サークルにも顔を出す。けれど、渚との関係は切れていない。むしろ、大学生になった港一の行動範囲は広がり、遊びのバリエーションも増えた。

ある土曜日、航と久しぶりにデートに出かけた。映画館の暗がりで、港一からの着信。画面に映る文字——「今すぐ来い」。渚は航に「トイレ」と告げ、席を立つ。映画館裏の公園、ベンチの陰で港一が待っていた。木々のざわめきが、二人の息遣いを隠す。渚はスカートをたくし上げ、港一の膝に跨る。汗ばんだ背中が港一のシャツに張りつく。終わったあと、彼女は航の隣に戻り、ポップコーンの匂いに紛れて自分の匂いを誤魔化した。

別の日、ゲームセンター。航は子供たちとクレーンゲームに夢中。渚は港一に連れられ、個室ブースへ。ガラス越しに家族の笑顔が見える。港一は渚の耳元で囁く。「旦那さん、楽しそうだね」。渚は唇を噛み、港一の指を受け入れる。機械の電子音が、彼女の声を掻き消す。

列車内も例外じゃない。通勤ラッシュの満員電車。港一は後ろから渚に密着し、スーツの裾を捲る。揺れる車内で、渚は必死に手すりを握る。隣のサラリーマンが新聞を広げる横で、港一はゆっくりと腰を動かす。渚の吐息が窓ガラスに曇りを作る。降車駅で、彼女は足が震えるのを悟られないよう、必死に歩いた。

家の中でも、波紋は広がっていた。航は渚の変化に気づき始めていた。夜遅く帰宅する妻、スマホを肌身離さず持つ姿。子供たちも、母の疲れた顔に敏感だ。長女の美咲は、大学受験を控え、母の不在が気になっていた。港一はそんな家庭の隙間を縫うように、渚を支配する。

渚の中で、何かが変わり始めていた。港一は、かつての自分と同じ——いや、それ以上に頭が切れる。五年間、完璧に罠を張り巡らせ、家族を巻き込みながら逃げ道を塞ぐ。最初は恐怖だった。次に屈辱。そして今、奇妙な信頼のようなものが芽生えていた。港一の予測はいつも当たる。航の昇進がダメだったこと、子供の学校のトラブル、すべて事前に警告されていた。まるで、港一が家族の未来を見透かしているようだ。

そんな空気を、航は敏感に察した。「家族旅行に行こう」。頓挫していた計画を、突然強行する。航は有給を消化し、軽井沢のペンションを予約した。子供たちは大喜び。渚は複雑だった。港一から離れられる安堵と、監視の目が届かない不安。

出発前夜、港一からメール。「旅行中も、ちゃんと報告しろよ」。渚は返信に迷い、結局「了解」とだけ打った。

軽井沢に着いたのは、梅雨の合間の晴れの日だった。ペンションは森の中にあり、木々の匂いがした。初日はハイキング。航は子供たちと先を歩き、渚は後ろからついていく。港一からの着信。渚は木陰に隠れ、電話に出る。「今どこ?」港一の声は、いつもより低かった。

二日目、温泉。家族風呂を貸し切りにした。湯船に浸かる航と子供たち。渚は脱衣所で、港一の指示を待つ。スマホが震える。「脱衣所の窓から出ろ」。渚はタオル一枚で外に出る。裏手の林で、港一が待っていた。落ち葉が足に絡まる。港一は渚を木に押し付け、背後から抱きしめる。湯気で湿った髪が、港一の胸に張りつく。遠くで、子供たちの笑い声が聞こえる。

三日目、事件は起きた。

朝食後、航が提案した。「近くの湖でボート漕ごう」。家族四人で湖畔へ。港一は、事前に場所を聞き出していた。ボート乗り場で、港一が現れる。大学生のグループと一緒に。航は驚く。「お前、確か……」。港一は笑う。「偶然ですね、斎藤さん」。子供たちは港一を知らない。美咲が「ママの知り合い?」と聞く。渚は言葉に詰まる。

ボートは二隻。航と子供たち、渚と港一。湖の中央で、港一はオールを止め、渚に近づく。航のボートは、少し離れている。港一は渚の耳元で囁く。「今、ここで」。渚は首を振る。港一はスマホを取り出し、画面を見せる。そこには、昨夜の温泉での写真。渚の裸体が、月明かりに照らされている。

渚は震えた。港一はゆっくりと手を伸ばす。湖面が揺れ、ボートが軋む。航がこちらを見ている。渚は、港一の指を受け入れる。冷たい湖水が、熱い身体を包む。航が叫ぶ。「渚、大丈夫か?」。渚は答える。「平気、ちょっと酔っただけ」。

その瞬間、港一は最後の罠を仕掛けた。ボートの下に、防水カメラ。すべて録画されている。航が近づいてくる。港一は満足げに微笑む。「これで、斎藤家は俺のものだ」。

旅行から帰ると、航は変わっていた。渚のスマホをチェックし、港一とのやりとりを発見。修羅場になった。航は港一を殴り、警察に届けようとする。だが、港一は用意周到だった。録画を航に見せ、「これを公表されたくなければ、離婚届にサインしろ」と。

渚は選択を迫られた。家族を守るため、港一の妻になる。あるいは、すべてを失う。

最終的に、渚は離婚を選んだ。航は子供たちを連れて家を出た。渚は港一のマンションに移る。表向きは、港一の「婚約者」。実際は、五年間の関係の延長。

だが、港一の本当の狙いは、そこじゃなかった。

港一は、渚の会社を買収する資金を、五年間で貯めていた。渚の昇進は、港一の情報操作。彼女の能力は本物だが、港一の裏工作がなければ、ここまで来られなかった。買収後、港一は社長に就任。渚は専務。表向きは、理想のカップル。

港一の計画は、最初から「元バリキャリ妻」を手に入れることじゃなかった。斎藤家の資産、渚のキャリア、すべてを自分のものにすること。寝取計画の最終形は、完全な支配。

渚は気づいたとき、すでに遅かった。港一のベッドで、彼女は呟く。「あなたに、負けたわ」。港一は微笑む。「最初から、勝負はついてたよ」。

家族旅行は、斎藤家の終わりだった。そして、港一の帝国の始まり。