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「妹孕ませないと出られない島2」

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島の名は古くから「子宝の島」と呼ばれていた。外界から隔絶されたこの場所では、村の掟が絶対だった。人口を維持するため、選ばれた若者たちは子を宿す義務を負う。兄の拓也と妹の美咲は、そんな掟に巻き込まれた二人だった。村長の厳しい命令により、兄妹で子づくりを強いられることになったのだ。

最初は戸惑いと罪悪感に苛まれた。拓也は二十五歳、美咲は二十歳。都会で暮らしていた兄妹は、島に連れてこられた日から、村の古い家屋で共同生活を始めた。村長は「島から出たければ、子を宿せ」と告げた。逃げ場のない状況で、二人は互いの体温にすがるしかなかった。夜ごと、薄暗い部屋で寄り添い、最初はぎこちなく触れ合う。美咲の頰は羞恥で赤らみ、拓也の心臓は激しく鼓動した。だが、日が経つにつれ、その行為は義務から次第に別の感情へと変わっていった。互いの息遣い、肌の温もり、囁くような声。島の風が窓を叩く音が、二人の世界を包み込んだ。

なんやかんやあって、そんな生活から解放されたはずだった。村の外から救援が来て、掟の不当さが明るみに出たのだ。村長の権威は揺らぎ、二人は島を出る機会を得た。都会に戻る選択肢もあった。だが、二人はそれをしなかった。あの数か月の経験が、兄妹の絆を予想外の形で深めてしまったからだ。完全に、互いの存在に依存するようになっていた。子づくりという名目を超え、二人は毎日のように体を重ねる生活に浸っていた。島の豊かな自然が、二人の秘密を優しく守ってくれた。

あれから数か月が経った。島は変わらず穏やかだった。青い海が広がり、椰子の木が風に揺れる。拓也と美咲は、村はずれの小さな家で暮らしていた。朝起きると、まず美咲が拓也の胸に顔を埋める。柔らかな髪の感触が、拓也の心を溶かす。朝食を共にし、島の市場で新鮮な魚や果物を買い込む。午後は浜辺を散歩し、波の音に耳を傾ける。夕暮れになると、家に戻り、互いの体を求め合う。美咲の笑顔は明るく、拓也の視線は優しい。子づくりを目的に始めたはずの行為は、今や純粋な喜びの源となっていた。毎晩、星空の下で二人は寄り添い、未来を語り合う。「この島で、ずっと一緒にいよう」と美咲が囁けば、拓也は頷き、彼女を抱きしめる。島の空気は甘く、二人の心を満たした。

美咲は島の生活にすっかり馴染んでいた。二十歳の彼女は、都会の喧騒を忘れ、自然の中で輝いていた。髪を海風に任せ、素足で砂浜を歩く姿は、島の精霊のようだった。拓也は二十五歳の兄として、彼女を守る喜びを感じていた。仕事は島の漁を手伝い、村人たちとも仲良くなった。だが、二人の関係は村人たちには秘密だった。表向きは「兄妹で島に残った」とだけ説明し、深い絆は二人だけのものにしていた。

毎日の子づくりは、義務ではなく、愛の表現だった。朝の光が差し込む部屋で、ゆっくりと始まる。美咲の指が拓也の背中をなぞり、拓也の唇が美咲の首筋に触れる。息が重なり、心が一つになる。島の花の香りが部屋に満ち、時間の流れを忘れさせる。午後の昼寝の後、再び。夕食の後、夜の静けさの中で。美咲の体は拓也にとって、かけがえのない宝物だった。拓也の強さは美咲の安心の源。子を宿すという目標は、いつしか二人の夢となった。「私たちの子が、この島で育つんだよ」と美咲が微笑む。拓也は「そうだな、幸せな家族を作ろう」と応じる。

そんな平穏な日々が続いていた。島の祭りでは、二人は手をつないで参加した。村人たちの笑顔に囲まれ、踊り、歌う。夜の花火が空を彩る中、二人はキスを交わした。誰も気づかない、秘密の瞬間。島の神話では、子宝は祝福とされ、二人の行為は自然な流れだった。だが、二人はただ、互いを愛していた。

ある日、いつものように浜辺で貝殻を拾っていると、拓也の携帯が鳴った。島には珍しい、外部からの電話。画面を見ると、村長の名前。数か月前、村長は権威を失い、島の運営は村人たちの合議制に移っていたはずだ。なぜ今さら? 拓也は美咲と視線を交わし、電話に出た。

「拓也か。久しぶりだな」村長の声は変わらず威厳を帯びていた。「美咲も元気か?」

「ええ、二人とも島で幸せに暮らしています。どうしたんですか?」

村長は少し間を置いて言った。「実は、島に新たな問題が生じた。外の世界から、調査団が来ることになったんだ。掟のことを嗅ぎ回っているらしい。お前たちのような例を、隠蔽する必要がある」

美咲が不安げに拓也の腕をつかんだ。拓也は電話をスピーカーにし、二人は耳を澄ました。

「だから、お前たちに頼みたい。島を去れ。すぐにだ。証拠を残すな」

だが、村長の言葉には別の響きがあった。数か月前とは違い、懇願するようなニュアンス。島の未来がかかっているという。

二人は顔を見合わせた。島を去る? 今さら? この生活を捨てるのか? 美咲の目には涙が浮かんだ。「お兄ちゃん、どうしよう……」

電話の向こうで、村長は続けた。「いや、待て。もう一つの選択肢がある。お前たちのように、子を宿した例を、島の誇りとして示すんだ。調査団に、掟の正当性を証明する。子ができたら、島は守られる」

拓也の心臓が再び激しく鳴った。あの時の命令が、形を変えて戻ってきた。だが、今は違う。二人はすでに、互いに深く結ばれている。子づくりは、もはや強制ではない。

美咲が拓也の手を握りしめた。「お兄ちゃん、私……この島が好き。あなたと一緒にいるのが好き。もし、それで島を守れるなら……」

拓也は頷いた。電話に向かって、「わかりました。僕たち、協力します」と答えた。

村長の声が明るくなった。「そうか、頼もしい。では、明日からまた、村の家に戻れ。皆で支えるぞ」

電話を切り、二人は浜辺に座った。波が足元を濡らす。美咲が拓也の肩に頭を預けた。「また、始まるね。でも、今度は私たちの意志で」

拓也は彼女を抱き寄せた。「ああ。この島で、家族を作ろう。ずっと、一緒に」

夕陽が海を赤く染め、二人の影を長く伸ばした。島の風が、新たな物語の始まりを告げていた。子宝の島は、再び二人の愛を試す。だが、今度の絆は、誰にも壊せないほど強いものだった。毎日の生活は、より深く、豊かになるだろう。村人たちの視線の中でも、二人は秘密の喜びを分かち合う。子が宿る日を夢見て、夜ごと体を重ねる。島の未来は、二人の手に委ねられた。

数日後、村の家に戻った二人は、村人たちに迎えられた。調査団の到来を控え、島は活気づいていた。拓也と美咲は、表向きは「島の伝統を守る兄妹」として振る舞う。だが、夜の部屋では、ただの恋人同士。美咲の体が変化し始めるのを、拓也は優しく見守る。朝の吐き気、食欲の変化。それが、子宝の兆しだと知った時、二人は涙を流した。

村長は満足げに頷いた。「お前たちのおかげだ。島は救われる」

だが、二人の心はすでに、島を超えた場所にあった。子が生まれ、育て、家族として生きる未来。子づくりは、愛の結晶。島の掟は、ただのきっかけに過ぎなかった。

こうして、二人の物語は続いていく。子宝の島で、永遠の絆を紡ぎながら。