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「爆乳ギャルのカクシゴト」

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「爆乳ギャルのカクシゴト」

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爆乳ギャルのカクシゴト

倉木亜留兎は、自分がギャルに弱いってことを、誰よりもよくわかってた。クラスで一番目立つ宇佐美絵里──金髪に巻き髪、制服のスカートは短すぎて歩くたびに危ういし、胸元なんてボタンが今にも弾けそうなくらい張ってる。あの絵里にパシリを頼まれるたび、亜留兎は心の中でガッツポーズしてた。「ジュース買ってきて」「プリント取ってきて」「ちょっと肩貸して」って、どんな用事でも嬉々として引き受ける。だって、近くで見られるし、たまに「ありがとー」って笑顔で見下ろされるだけで、もう一日幸せだった。

でも、あの日が来るまでは。

放課後、誰もいないはずの美術室に忘れ物を取りに戻ったら、ドアの向こうから変な声がした。息づかいが荒くて、なんか甘ったるい。覗いた瞬間、頭が真っ白になった。絵里がいた。いつもの派手なギャルメイクは崩れてて、頬は赤く染まって、制服のシャツは肩までずり下げられてる。相手は……まあ、誰でもいいや。とにかく、絵里があんな顔してるの、初めて見た。普段は「は? キモ」って感じで睨んでくるのに、今は目が潤んでて、唇を噛んで、必死に声を押し殺してる。ああ、もうダメだ。完全にやられた。

次の日、絵里はいつもの調子で「倉木、ちょっと来いよ」って屋上に連れ出した。風が強くて、金髪がバサバサ揺れてる。絵里は腕を組んで、睨みつけてきた。

「昨日……見たよな?」

「……うん」

「誰にも言わない?」

「言わないよ」

「ほんとに?」

「ほんとだよ」

絵里はしばらく黙ってた。それから、ため息をついて、ポツリと言った。

「じゃあ、秘密にしてくれるなら……いいよ」

「いいよ、って?」

「だから……その、なんでも、してあげても」

その瞬間、頭の中で花火が上がった。冗談だろ? こんな展開、あるわけないだろ? でも絵里は本気だった。次の瞬間、屋上のフェンスに背中押しつけられて、唇を塞がれた。柔らかくて、ちょっとタバコの匂いがした。絵里の胸が当たって、息ができないくらい。手が勝手に動いて、制服の裾から潜り込ませたら、絵里は「んっ……」って小さく鳴いただけで、抵抗しなかった。

それから、二人だけの時間が始まった。

場所なんて選ばなかった。放課後の空き教室、夜の公園のトイレ、駅の多目的トイレ、映画館の最後列、挙句の果てには絵里の家のリビングで親が寝てる横のソファ。どこでも、絵里が「ねぇ……」って囁いたら、もう理性なんて吹っ飛ぶ。絵里はいつもツンツンしてるくせに、肌を重ねると別人みたいに甘える。耳元で「もっと……」って吐息混じりに言われたら、もうどうにでもなれって感じだった。

でも、変だなって思うこともあった。

絵里は絶対に「好き」とか「付き合おう」とか言わない。終わった後に「これで満足?」って冷たく聞いて、さっさと服を直して帰っていく。次の日も普通に「倉木、パシリ」って命令してくる。でも、俺がちょっとでも他の子と話してると、急に機嫌悪くなって「は? 何? あいつと何?」って詰め寄ってくる。嫉妬? いや、まさか。

ある日、いつものように空き教室で終わった後、絵里が珍しくベッタリくっついてきた。制服のシャツのボタンを直しながら、ぼそっと言った。

「……ねぇ、倉木ってさ、私のこと、どう思ってる?」

「え?」

「いや、別に。なんでもない」

それっきり。でも、その日から少しずつ変わっていった。絵里が俺の家に来るようになった。親がいない日を見計らって、「勉強教えて」って嘘ついて。部屋に入るなり抱きついてきて、ベッドに倒れ込む。終わった後、珍しく腕の中で寝てしまうこともあった。寝顔、めっちゃ可愛いんだよな。あの派手なメイクも落として、すっぴんで。なんか、守ってやりたくなる。

でも、やっぱり秘密はあった。

ある夜、絵里が俺の家で寝てて、スマホが光った。ロック画面に通知がポンポン来てて、つい見ちゃった。送信者は「ママ」。内容は……

『絵里、明日も病院何時? お薬ちゃんと飲んでる?』

病院? お薬?

慌てて画面を消したけど、頭の中がぐちゃぐちゃになった。絵里が起きて、眠そうに「ん……どうしたの?」って聞いてきたけど、笑って誤魔化した。

それから、俺は少しずつ気づいていった。

絵里が時々、授業中に急に顔をしかめて、トイレに駆け込むこと。体調悪そうにしてるのに、無理して笑ってること。派手なメイクも、実は体型隠しだったりして。胸が大きいのも、なんか関係あるのかな……。

ある日、勇気を出して聞いてみた。

「絵里、なんか……隠してる?」

絵里は一瞬、固まった。それから、いつもの調子で「は? 何それ」って笑ったけど、目が泳いでる。

「……実はさ」

絵里は、ためらいながら話してくれた。

小さい頃から体が弱くて、定期的に病院通いしてるって。薬も毎日飲んでて、副作用で体がむくんだり、胸が異常に張ったりするんだって。だから、ギャルメイクも、派手な服も、全部「弱い自分」を隠すための鎧なんだって。

「バレたら、みんな引くじゃん。キモいって思われるじゃん。だから……絶対に、知られたくなかった」

だから、俺に秘密を握られた時、必死だったんだ。誰にも言われたくなくて、どんなことでもして黙っててほしくて。

「……ごめん、利用してるみたいで」

絵里はそう言って、目を伏せた。初めて見る、素の絵里。強がってた仮面が剥がれて、ただの女の子だった。

俺は、そっと抱きしめた。

「俺、絵里のこと、好きだよ。ギャルな絵里も、弱い絵里も、全部」

絵里はびっくりした顔して、それから、ぽろぽろ泣き始めた。俺の胸に顔埋めて、震えてる。初めて、ちゃんと「好き」って言ったら、絵里も小さく「……私も」って返してくれた。

それから、俺たちはちゃんと付き合い始めた。相変わらず絵里はツンツンしてるし、パシリもさせるけど、二人きりの時は甘えてくる。病院に行く時は付き添うし、薬の管理も手伝う。絵里は少しずつ、素の自分を出せるようになってきた。

秘密は、もう秘密じゃなくなった。でも、俺たちの関係は、誰にも言わない。だって、これは俺たちだけの、特別なカクシゴトだから。