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▶【新刊】「アリーさんはドコでもイキたい!!3」YAGENなんこつ

「アリーさんはドコでもイキたい!!3」

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コースケの家にアリーが居候を始めてから、早いもので三か月が過ぎていた。アメリカからやってきたアリーは、明るい笑顔と好奇心旺盛な性格で、コースケの日常に新しい風を吹き込んでいた。しかし、ビザの期限が迫り、彼女は母国へ帰る準備を進めなければならなかった。別れの日、成田空港のゲート前で二人は軽いハグを交わし、「またいつか」と笑顔で言葉を交わした。コースケはアリーの背中が人混みに消えるのを見送りながら、胸の奥に小さな寂しさが広がるのを感じた。アリーもまた、飛行機の窓から日本の空を眺めながら、過ごした日々の温かさを思い返していた。

季節は巡り、秋が深まるにつれて東京の街は冬の気配に包まれ始めた。コースケはいつもの生活に戻り、仕事と家の往復を繰り返す中で、アリーとの思い出がふと頭をよぎる瞬間が増えていた。一方、アリーはアメリカの故郷で、友人たちと再会し、慣れ親しんだ生活を取り戻していた。それでも、コースケとの何気ない会話や、夜遅くまで語り合った時間、近所のラーメン屋で笑い合った記憶が、彼女の心に静かな波紋を広げていた。人種も国籍も、25歳のコースケと22歳のアリーという年齢差も超えて、二人が共有した時間は、離れている今、なぜかより鮮明に輝いて感じられた。

冬が訪れ、東京の街に初雪が舞ったある日、コースケのスマートフォンに一通のメッセージが届いた。アリーからだった。「ねえ、コースケ、覚えてる?あの喫茶店のモカが恋しくてさ」。些細な一言だったが、それがきっかけでアリーの心に変化が生まれた。彼女は日本での日々を思い出し、もう一度あの場所で新しい一歩を踏み出したいという思いが膨らんでいた。数週間後、彼女は決意を固め、再び日本行きのチケットを手配した。

数か月ぶりに再会した二人は、まるで昨日まで一緒にいたかのように自然に会話を始めた。コースケの家のリビングで、いつものようにアリーが冗談を飛ばし、コースケが呆れ顔で突っ込む。お互いの癖やリズムは変わらないままだったが、どこか空気が違っていた。二人の間に流れる沈黙は、以前のような軽やかなものではなく、言葉にできない想いが詰まった重みを持っていた。ある夜、近所の公園でイルミネーションを見ながら、アリーがふと言った。「コースケと過ごした時間、なんか特別だったんだよね。私、戻ってきてよかった」。コースケは少し照れながら、「お前がいると、なんか毎日が賑やかでさ」と答えた。その瞬間、二人はお互いの目を見て、今まで曖昧だった気持ちがはっきりした形を取ったことを感じた。

異なる背景を持つ二人が、時間と距離を越えて再び向き合う中で、互いへの想いは確かなものに変わっていた。冬の夜空の下、イルミネーションの光に照らされた二人の笑顔は、これからの新しい物語の始まりを予感させた。