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【感想】漫画「かわいいひと」柴崎ショージ先生の9年ぶりの成年向けコミック単行本として、期待を裏切らない完成度

はじめに

2025年4月25日、FANZAブックスにて配信開始された柴崎ショージの新作アダルトコミック単行本「かわいいひと」。
9年ぶりの成年向け作品集として注目を集める本作は、コミックホットミルクに掲載された7つの短編を収録し、大幅な加筆修正と描き下ろし解説を加えた珠玉の一冊です。愛と温もりをテーマに、日常の中で心を通わせるカップルたちの物語が丁寧に描かれています。
この記事では、「かわいいひと」の魅力と各作品の印象をじっくり紐解いていきます。さあ、柴崎ショージの世界に浸ってみましょう!

全体の印象:愛を丁寧に描く柴崎ショージの真骨頂

柴崎ショージといえば、繊細な心理描写と温かみのあるタッチで知られる漫画家。
過去の作品「とくべつな毎日」や「Jewelry」でも、セックスを単なる行為ではなく、愛情や絆を深める手段として描いてきました。
本作「かわいいひと」でもその姿勢は変わらず、むしろ9年間の熟成を経て、さらに深みを増した印象です。

全7編からなる本作は、それぞれ独立した物語ながら、共通して「愛の確認」というテーマが流れています。

恋人同士、幼馴染、秘密の関係…さまざまな関係性の中で、登場人物たちは互いを思いやり、時には衝動的に、時には優しく、体と心で愛を伝え合います。

成年向けコミックとしては珍しく、どの物語も「キュン」とするトキメキが詰まっており、読後には心が温かくなること間違いなしです。

また、大幅加筆された作品や描き下ろし解説により、柴崎ショージの創作意図やキャラクターへの愛が垣間見えるのも本作の魅力。
単なるエロティックな描写にとどまらず、物語としての完成度の高さが際立っています。では、収録作品を一つずつ見ていきましょう。
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『可愛い人』:日常の中で育む純粋な愛

表題作『可愛い人』は、合コンで出会ったモデル風の青年・須藤くんと礼子ちゃんのラブストーリー。
須藤くんの一目惚れから始まる二人の関係は、デートを重ねるごとに深まっていきます。
しかし、須藤くんは自分の気持ちがちゃんと伝わっているか不安で…という、誰もが共感できる恋愛のドキドキが描かれています。
この作品の魅力は、日常のささやかな瞬間を丁寧に切り取っている点。カフェでの会話、夜の公園でのキス、そしてベッドでの愛情表現。
どれも派手さはないけれど、二人の「好き」が0距離で伝わってくるシーンばかりです。
特に、礼子ちゃんの「わたしも、だいすき」という一言は、ポスターのキャッチコピーにも採用されただけあって、読者の心を直撃。成年向けながら、ピュアな恋愛漫画のような余韻を残します。

『甘い隠し事』:秘密の関係が織りなす熱

『甘い隠し事』は、誰にも言えない秘密の関係を描いた作品。
周囲にバレないように愛を育む二人の、緊張感と情熱が交錯する物語です。コミックホットミルク2023年11月号に掲載されたこの作品は、ビクビクと高まる感情と体の反応がリアルに描かれており、読んでいてドキッとする瞬間が多々あります。
特に印象的なのは、二人だけの空間での「待って、イく!」という切迫したやりとり。エロティックなシーンはもちろんありますが、それ以上に「この関係を続けたい」という二人の切実な思いが胸を打ちます
柴崎ショージの描くキャラクターは、どんな状況でも相手を大切にする姿勢が一貫しており、この作品でもその優しさが光っています。

『幸せなアンバランス』:誤解を乗り越える純粋な愛

『幸せなアンバランス』は、外見や立場による誤解を抱えがちな男性と、彼を信じる女性の物語。
2024年2月号のホットミルクに掲載された本作は、ちょっとしたすれ違いから始まる二人の関係が、互いを理解することで深まる様子を描いています。
この作品のポイントは、男性側の「後ろからなんて…えっちすぎる」という照れくささと、女性側の包容力。見た目や噂に惑わされず、心で繋がる二人の姿は、読者に「愛ってこういうことだよね」と改めて気づかせてくれます。
柴崎ショージの描く女性キャラクターは、強さと優しさを兼ね備えており、この作品でもその魅力が全開です。

『二人の鯉』:衝動と優しさが交錯する瞬間

『二人の鯉』は、衝動的に始まった関係が、徐々に深い愛情へと変わっていく物語。
2023年6月号に掲載されたこの作品は、情熱的なシーンと静かな心の交流がバランスよく織り交ぜられています。タイトルにある「鯉」は、二人を象徴するモチーフとして登場し、物語に詩的な余韻を加えています。
特に、衝動的なキスから始まるシーンは、読者の心を掴んで離しません。しかし、柴崎ショージの真骨頂は、その後に続く二人の会話やさりげない仕草。
相手を思いやる気持ちが、行為を通じて深まる様子は、成年向けコミックの枠を超えた感動を与えてくれます。

『本の森の王子様』:演劇部で芽生える淡い恋

演劇部を舞台にした『本の森の王子様』は、2023年1月号掲載の作品。
演劇の練習を通じて心を通わせる二人の、初々しい恋物語です。図書室や舞台裏といったロマンティックなシチュエーションが、読者の想像力を刺激します。
この作品の魅力は、恋愛の「始まり」を丁寧に描いている点。初めてのキスや、相手の手を握る瞬間のドキドキが、柴崎ショージの繊細なタッチで生き生きと表現されています。
成年向け要素は控えめながら、恋のトキメキと体の温もりが絶妙に融合しており、ピュアな気持ちを思い出したい人にオススメです。

『約束の約束』:幼馴染のその先へ

幼馴染で恋人同士の二人が、次のステップを模索する『約束の約束』(2022年10月号掲載)。
長年の信頼関係があるからこその安心感と、新たな関係への期待が交錯する物語です。
この作品では、日常の中でのささやかな愛情表現が特に印象的。朝一緒に登校するシーンや、夜の電話での会話など、誰もが経験したことのある瞬間が、柴崎ショージの手によって特別なものに変わります。
成年向けシーンも、信頼し合う二人だからこその自然体な流れで描かれており、読んでいて心地よい余韻が残ります。

『傷の絆』:過去を共有する温かい友情

最後に紹介する『傷の絆』(2024年9月号掲載)は、過去の傷を抱える二人が、友情と愛情を通じて癒されていく物語。
互いの痛みを理解し、そっと寄り添う二人の姿は、読者の心に深く響きます。
この作品のエロティックなシーンは、行為そのものよりも「相手を癒したい」という気持ちが強く表れており、柴崎ショージの人間に対する優しい視線を感じます。
過去の傷を共有することで強まる絆は、恋愛を超えた深い繋がりを描いており、本作のラストを飾るにふさわしい作品です。

描き下ろし解説と加筆のこだわり

本作の大きな特徴の一つは、全作品に付された描き下ろし解説と、大幅な加筆修正。
柴崎ショージ自身が各作品の創作背景やキャラクターへの思いを語っており、ファンにとってはたまらない特典です。
例えば、『可愛い人』の礼子ちゃんのキャラクター設定や、『傷の絆』のテーマについて、作者の意図を知ることで物語の奥行きがさらに増します。
加筆部分では、表情や仕草の細やかな変化、背景の描き込みが追加されており、雑誌掲載時よりも情感豊かな仕上がりになっています。
特に、恋人たちの視線や触れ合う手の描写は、愛の深さをより強く感じさせるもの。9年ぶりの単行本にふさわしい、丁寧な作り込みが感じられる一冊です。

FANZAブックスでの配信と特典情報

「かわいいひと」はFANZAブックスで好評配信中。
電子書籍ならではの手軽さで、いつでもどこでも柴崎ショージの温かい世界に浸れます。
さらに、特典としてメロンブックスやとらのあなでは4ページのオマケ漫画、げっちゅ屋ではモノクロイラストカードが付属する店舗もあるとのこと(※在庫状況は要確認)。ファンならぜひチェックしたいところです。

総評:心も体も温まる一冊

「かわいいひと」は、柴崎ショージの9年ぶりの成年向けコミック単行本として、期待を裏切らない完成度を誇ります。
7つの物語はそれぞれ異なるシチュエーションと関係性を描きつつ、共通して「愛の確認」というテーマが貫かれており、読者に深い感動を与えてくれます。
エロティックなシーンはもちろん、恋愛のトキメキや相手を思いやる優しさが随所に感じられ、成年向けコミックの枠を超えた魅力を持っています。
特に、日常の中のささやかな瞬間を丁寧に描く柴崎ショージのスタイルは、読者の心に寄り添い、温かい余韻を残します。恋愛漫画が好きな人、ピュアな気持ちを思い出したい人、そして柴崎ショージのファンには絶対にオススメの一冊。
FANZAブックスで今すぐ手に入れて、愛と温もりの物語に浸ってみてください!