とある少女に起きた青春と光と闇を描いた、著者の大人気オリジナルシリーズを待望の商業書籍化!希望と絶望の交錯でぐちゃぐちゃになった少女の感情が紡ぎ出す、実用度満点ハードエロスの一冊!!
「お隣の贄【デジタル特装版】」



「お隣の贄【デジタル特装版】」
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家の都合で突然の引っ越しが決まり、幼い頃から一緒に遊んでいた幼馴染の紫苑とカズは、涙ながらに別れを告げた。あの頃の紫苑は、いつもクールな表情を浮かべながらも、カズの後ろを静かに追いかけるような、穏やかな少女だった。カズは海外へ移り住むことになり、二人は手紙や電話で連絡を取ろうと約束したが、時が経つにつれ、自然と疎遠になってしまった。
五年という歳月が流れ、カズは二十歳を過ぎて日本に帰国した。大学進学を機に、故郷の町に戻ってきたのだ。心のどこかで、紫苑のことをずっと忘れられずにいた。彼女のクールな瞳や、時折見せる優しい笑顔が、夢の中に何度も現れた。帰国してすぐに連絡を取ろうと決意し、昔の住所を頼りに訪ねてみた。
再会した紫苑は、二十一歳になっていた。五年ぶりの彼女は、変わらぬクールな雰囲気を保ちつつ、まるで別人のように美しく成長していた。長い黒髪が優雅に揺れ、細身の体躯は洗練された曲線を描き、胸元は豊かに膨らんで、女性らしい柔らかさを湛えていた。カズは一瞬、息を飲んだ。幼い頃の面影を残しつつ、彼女はまるで花が満開に咲いたような輝きを放っていた。「久しぶり、カズ。元気だった?」紫苑の声は落ち着いていたが、目には微かな喜びが宿っていた。
カズは胸に秘めていた想いを、ようやく伝えられる機会が訪れたと喜んだ。二人は近所の公園で話し込んだ。昔の思い出を振り返り、笑い合い、互いの近況を語り合う。カズは海外での生活を熱く語り、紫苑は静かに聞き役に徹した。彼女の家庭は、父親が事業に失敗したせいで崩壊していた。母親は数年前に家を出て行き、今は父親と二人暮らしだという。紫苑の言葉には、淡々とした諦めが混じっていたが、カズはそれ以上深く聞けなかった。ただ、彼女の傍にいられるだけで幸せだった。
しかし、再会の喜びの裏側で、暗い影が忍び寄っていた。紫苑の父親は、酒に溺れるようになり、家庭を顧みなくなっていた。五年間の空白の中で、彼の心は歪み、娘である紫苑を「仲良し」の対象として見るようになっていた。それは、父親の勝手な欲求を紫苑にぶつける、日常的な行為だった。紫苑は抵抗する気力すら失せ、ただ耐えるしかなかった。クールな仮面の下で、彼女の心は静かに蝕まれていた。
カズが訪ねてくるようになった頃、父親はそれを好機と捉えた。「カズくんと遊ぶなら、まずはお父さんと仲良ししようぜ」そんな言葉で、紫苑を迫るのだ。カズとの交流を餌に、父親は毎日のように紫苑に近づき、彼女の体を自分の欲求のはけ口に変えていく。紫苑はカズに知られたくない一心で、笑顔を装いながら会うが、心の中では絶望が渦巻いていた。幼馴染への純粋な想いと、父親の影に汚される現実が、彼女の感情をぐちゃぐちゃに掻き乱す。
物語は、紫苑の青春を描きながら、光と闇の交錯を丁寧に追う。カズは紫苑の異変に気づき始め、彼女を救おうと奔走する。公園でのデートのような時間は、希望の光を灯す。紫苑の笑顔が少しずつ本物に戻る瞬間、カズの想いが届きそうになる。しかし、夜になると父親の影が忍び寄り、紫苑は再び闇に引きずり込まれる。彼女の体は父親の欲求に翻弄され、心はカズへの想いと罪悪感で引き裂かれる。
紫苑の内面は複雑だ。カズの優しさが、五年ぶりの温かさとして胸を締めつける。一方で、父親の行為は日常化し、彼女の自尊心を削ぎ落とす。クールな外見は防衛機制で、涙をこらえるための鎧だった。カズが告白しようとする場面では、紫苑の目が揺らぐ。喜びと恐怖が交錯し、彼女は言葉を飲み込む。「カズ、私……」と呟くが、父親の存在が脳裏をよぎり、黙ってしまう。
クライマックスでは、カズが真相を知る。紫苑の部屋で父親の痕跡を見つけ、激昂する。紫苑はすべてを告白し、涙を流す。「ごめん、カズ。汚れてしまった」彼女の声は震え、青春の光が一瞬輝くが、闇の重みがそれを覆う。カズは彼女を抱きしめ、救いの道を探す。希望と絶望の狭間で、紫苑の感情は爆発する。愛情、怒り、悲しみ、諦めが混じり合い、彼女を成長させる。
この物語は、少女の心の葛藤を深く掘り下げ、実用的でハードな展開を織り交ぜる。紫苑の美しく成長した体は、喜びの象徴でありながら、闇の犠牲でもある。カズの純粋な想いが、彼女を光へ導く鍵となる。シリーズの人気を支えるのは、こうした感情の渦巻きだ。読者は紫苑の苦しみに共感し、カズの行動に勇気づけられる。
さらにデジタル特装版では、秘蔵のイラストラフ集が特別収録されている。紫苑のさまざまな表情や姿が、作者の筆致で描かれ、見逃せない魅力に満ちている。彼女のクールな魅力から、感情が溢れ出す瞬間まで、細やかなタッチで表現されたラフは、物語をより深く味わえる一冊だ。

