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▶【新刊】「交差勤務 3」崖上社

「交差勤務 3」

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虎冢コウタ、18歳。地元の小さなカフェでアルバイトを始めたばかりの青年だ。緊張と期待が入り混じる初日、彼の視線は自然と店長の染雛まいへと向かった。28歳の彼女は、落ち着いた物腰と柔らかな笑顔で職場の中心に立つ女性だった。整った容姿に加え、明るく優しい性格で、スタッフや常連客から慕われる存在だ。コウタにとって、彼女はまさに手の届かない憧れの女性だった。

そんなある日、思いがけない出来事が起こった。閉店後の静かな店内で、些細な会話から始まった二人の距離は急速に縮まり、互いの心が通じ合った瞬間、コウタはこれまでに感じたことのない高揚感に包まれた。初めての深い関係を築いたことで、彼は有頂天になった。自分の人生が一変したような興奮が抑えきれず、仕事中も彼女の笑顔や仕草に心を奪われていた。

しかし、その浮かれた気持ちがコウタを失敗へと導いた。注文を間違えたり、ドリンクをこぼしたりと、ミスが続いた。染雛はそんな彼を優しくたしなめるが、彼女の態度はどこかよそよそしい。コウタは気づいていた。彼女が店長として、職場の秩序を守ろうとしていることを。染雛自身、誰よりもその立場を理解していた。一線を越えた関係は、職場では決して許されないものだった。

二人の関係は微妙な変化を遂げていた。仕事中は店長とアルバイトという立場を崩さず、必要以上の会話を避けるようになった。コウタが話しかけても、染雛は事務的な返答しかしない。彼女の笑顔は以前のように温かく、しかしどこか距離を感じさせた。コウタの胸には不安と焦りが募った。彼女との特別な時間を思い出すたび、喜びと同時に自分への苛立ちがこみ上げる。なぜもっと冷静でいられないのか。なぜ彼女の心をつかめないのか。

一方、染雛もまた葛藤していた。コウタの純粋な情熱に心を動かされながらも、店長としての責任感が彼女を縛っていた。職場での立場、スタッフからの信頼、そして自分自身の理性――それらが彼女に「これ以上進んではいけない」と告げていた。それでも、コウタの視線を感じるたびに、彼女の心は揺れた。寂しさと、抑えきれない想いが交錯する。彼女は自分を律しようと努めたが、彼の存在はあまりにも強く心に響いた。

そんな中、新たな波乱が訪れる。カフェに新しく入ったアルバイトの青年が、染雛の魅力に惹かれ始めたのだ。彼の積極的な態度は、コウタにさらなる焦りを与えた。自分だけが彼女の特別な存在でいたい――そんな願いが、抑えきれずに膨らんでいく。コウタは自分の感情に戸惑いながらも、彼女との距離を縮めようと必死だった。

染雛もまた、複雑な思いを抱えていた。コウタへの感情を抑えようとすればするほど、彼への想いが強くなる自分に気づく。職場では冷静な店長として振る舞いながら、心の奥では彼との時間を求めてしまう。その罪悪感と、抑えきれない感情の間で、彼女の心は揺れ動いた。理性ではわかっている。この関係が続けば、誰かが傷つくかもしれない。それでも、コウタの真っ直ぐな眼差しに触れるたび、彼女の心は彼へと傾いていく。

二人の想いは、まるで交差点でぶつかり合うように複雑に絡み合っていた。コウタの情熱と、染雛の理性。互いを求めながらも、立場や責任がそれを阻む。罪悪感と喜びの狭間で揺れながら、それでも二人は互いを必要としていた。心の奥で燃える想いは、止めようとしても止まらない。カフェのカウンター越しに見つめ合う二人の視線は、言葉を超えて何かを語り合っていた。

そして、物語はさらに新たな局面へ。揺れる心と止められない想いが、二人をどこへ導くのか――。