PR

▶【新刊】「同人イベントの出張編集部に行った日から妻の様子が…4」ひらひら

「同人イベントの出張編集部に行った日から妻の様子が…4」

無料サンプルはこちら

 

 

 

 

 

「同人イベントの出張編集部に行った日から妻の様子が…4」

▶続きはこちら♪

 

 

 

 

 

 

==================================

「女は楽でいいよな。股を開けば何とかなるんだから」

その一言が、すべてを終わらせた。

蓮司の声は、普段の穏やかさとは裏腹に、鋭く冷たかった。夕食の後片付けをしながら、何気なく口にした言葉。洗い物をしていた私の手が、ぴたりと止まった。鍋の湯気が立ち上る中、背後で彼はスマホを弄りながら続けた。

「同人イベントのサークル見てて思うんだよ。女の作家って、結局は男の欲目当てだろ。ちょっと色気出せば売れるし、握手会で触らせりゃファン増えるし」

私は振り返らなかった。振り返れば、涙が零れるとわかっていたから。五年間、蓮司の言葉を信じて生きてきた。子どもはいらない。私だけでいい。そう言ってくれた彼の瞳に、嘘はないと信じていた。

出会いは、二十五歳の夏だった。コミックマーケットの出張編集部ブース。私は新人イラストレーターとして、初めての合同誌に参加していた。蓮司はイベント主催者の一人で、ブースの設営を手伝っていた。汗ばむ首筋に、黒いTシャツが張り付いている姿が印象的だった。

「君の絵、いいね。もっと売れるよ」

そう言って、彼は私のスケッチブックを手に取った。指先が触れた瞬間、胸が高鳴った。交際は自然な流れだった。週末は一緒にイベント回り、平日は彼のマンションで原稿を手伝う。二十八歳の春、結婚した。式は挙げなかった。二人だけの世界が、幸せの形だと信じていた。

でも、違和感は少しずつ積もっていった。蓮司は「子どもは金食い虫だ」と言い、避妊は徹底していた。私は頷きながら、心のどこかで「いつか」と願っていた。友人の出産報告を見ると、胸が締め付けられた。赤ちゃんの写真に「いいね」を押す指が、震えた。

離婚届に判を押したのは、三十歳の秋だった。蓮司の言葉がきっかけだったが、決断は自分でした。実家に戻り、荷物を整理しながら、初めて自分の人生を振り返った。イラストレーターとしてのキャリアは順調だった。商業誌の表紙を任されるようになり、ファンも増えていた。でも、家族という選択肢を、どこかで封印していた。

同人イベントの帰り道、友人の作家・美咲と飲んだ夜が転機だった。彼女は三十五歳、シングルマザーとして活動していた。

「セックスの先に待ってる女の幸せって、妊娠だよ」

ビールの泡を見つめながら、彼女は静かに言った。

「新しい命を抱く瞬間。あの温かさ、匂い、泣き声……それが本物の充足感。男に縛られる必要なんてない。自分の体で、未来を作れる」

その言葉が、理性の壁を突き破った。実家に戻ってからの夜、ベッドで体が熱く疼いた。蓮司との交わりは、いつも義務的だった。避妊具の感触、終わった後の虚しさ。でも今、違う。子どもを授かりたいという、原始的な衝動が溢れ出す。生の交わりを求め、命を繋ぐ喜びを渇望する。心と体が、自由を叫び始めた。

シリーズは、私の覚醒の物語。出張編集部での出会い、蓮司の情熱に溺れた日々、冷たい言葉による崩壊、離婚後の目覚め。そして、新たな欲望の爆発。理性が崩壊し、性欲が爆発する過程を、克明に描いた。

完結編では、ついに私は行動する。新しい出会い、初めての「生」の感覚、妊娠への強い願い。三十歳を過ぎた女の、遅咲きの青春。