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▶【新刊】「配達員の俺、美人JDのセフレだと思ってたけど彼氏に昇格してた件」鬼塚クリス

「配達員の俺、美人JDのセフレだと思ってたけど彼氏に昇格してた件」

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「配達員の俺、美人JDのセフレだと思ってたけど彼氏に昇格してた件」

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配達員の俺、美人JDの恋人になった件

俺の名前は郷田。二十五歳。毎日、街をバイクで駆け回り、荷物を届けるのが仕事だ。特別なスキルがあるわけじゃない。身長は平均的、顔も人並み。学生時代は目立たない存在だった。けれど、この仕事は気に入っている。風を切って走る感覚が、日常のわずらわしさを忘れさせてくれる。

ある日、いつものようにマンションのエントランスで荷物を預かり、指定された部屋のチャイムを押した。ドアが開くと、そこに立っていたのは静香さん。二十歳の女子大生。長い黒髪が肩に流れ、大きな瞳が印象的な、美しい女性だ。初めて会った瞬間から、彼女の存在が頭から離れなくなった。

最初はただの配達先の一つだった。けれど、何度か顔を合わせるうちに、会話が生まれた。「今日もお疲れ様」「この辺り、道が混んでますよね」。そんなささいなやり取りが、徐々に長くなった。ある雨の午後、荷物を渡す時に彼女が「ありがとう、いつも助かる」と微笑んだ。その笑顔が、俺の心に小さな波紋を広げた。

やがて、関係は変わっていった。配達の後、部屋に招かれるようになった。最初はコーヒーをごちそうになるだけ。けれど、静香さんの手が俺の腕に触れ、視線が絡み合う瞬間が増えた。ある夜、彼女の唇が俺の耳元で囁いた。「郷田さん、今日は少し、話相手になってくれませんか」。その言葉を合図に、俺たちは互いの体温を確かめ合うようになった。毎回のように、配達の後に彼女の部屋で、静かな時間を共有する。ベッドの上で、息を合わせ、肌を重ねる。あの柔らかな感触、甘い吐息。すべてが、夢のように鮮やかだった。

けれど、俺は自分を「都合のいい相手」だと信じ込んでいた。静香さんの元恋人が、信じられないほど魅力的な男性だったと聞いたからだ。大学のサークルで知り合ったという彼は、背が高く、スポーツ万能で、将来を約束されたエリート。彼女のSNSに残る古い写真には、輝くような笑顔の二人が写っていた。俺みたいな普通の配達員が、そんな過去を持つ女性の隣にいるなんて、ありえない。きっと、彼女はただの気まぐれ。寂しさを埋めるための、便利な存在。それが俺の役割だと思い込んでいた。

自己肯定感の低さも、俺をそんな考えに縛りつけた。鏡を見るたび、平凡な自分を呪う。学生時代、クラスで目立つタイプじゃなかった。女性に積極的に声をかけられたこともない。静香さんが俺を選ぶ理由なんて、どこにもないはずだ。毎回の逢瀬の後、彼女の部屋を出る時、心の中で繰り返す。「次はもう、終わりだ」。そう自分に言い聞かせて、バイクに跨がった。

そんな不確かな日々が続いていたある夕方。いつものように荷物を届けるために、マンションの前でヘルメットを外した。エレベーターで上がる間、胸がざわついた。今日は少し、様子が違う気がした。ドアをノックすると、静香さんがすぐに開けた。彼女の表情は、いつもより明るい。いや、どこか緊張しているようにも見える。

「郷田さん、来てくれたね。入って、入って」

部屋の中は、柔らかな照明が灯り、テーブルには手作りの料理が並んでいた。温かなスープの香りが漂う。俺は戸惑いながらソファに腰を下ろした。静香さんが隣に座り、俺の手をそっと握った。その手は、少し震えていた。

「ねえ、郷田さん。最近、ずっと考えてたことがあるの」

彼女の声は、いつもの甘さとは違う、真剣な響きを帯びていた。俺の心臓が、早鐘のように鳴り始めた。まさか、別れの言葉か。俺は覚悟を決めて、彼女の目を見つめた。

「私、郷田さんのこと……本気で好きだよ。最初は、ただの気軽な関係だと思ってた。でも、会うたびに、どんどん大切になってきて。もう、都合のいい相手なんかじゃない。私の、恋人になってほしい」

一瞬、頭が真っ白になった。恋人? 俺が? あのイケメン元カレの後で? 信じられない。けれど、静香さんの瞳には、揺るぎない想いが宿っていた。彼女は続けた。

「元カレのこと、知ってるよね。私、確かにあの人と付き合ってた。でも、それは過去。郷田さんは、優しくて、真っ直ぐで、私をちゃんと見てくれる。配達の合間に、いつも笑顔でいてくれる。それが、どれだけ心強いか」

俺の胸に、熱いものが込み上げた。自己否定の壁が、少しずつ崩れていく。彼女は俺の頬に手を当て、優しくキスをした。柔らかな唇の感触が、すべてを溶かした。

「私、郷田さんの彼女になりたい。いい?」

言葉が出なかった。代わりに、俺は彼女を抱きしめた。強く、強く。彼女の体温が、俺の不安を追い払う。ベッドに倒れ込み、互いの想いを確かめ合うように、肌を重ねた。今回は、ただの逢瀬じゃない。恋人としての、初めての時間。彼女の吐息が耳元で響き、指先が背中を這う。すべてが、愛おしくてたまらなかった。

翌朝、目覚めると静香さんが俺の胸に寄り添っていた。窓から差し込む朝日が、彼女の髪を輝かせる。俺はそっと彼女の額にキスをした。これからは、セフレなんかじゃない。堂々とした恋人として、彼女の隣にいる。

それからというもの、配達の合間に彼女の部屋を訪れるのが、ますます楽しみになった。時には一緒に料理を作り、街を散歩する。彼女の大学近くのカフェで、手を繋いで座る。俺のバイクの後ろに彼女が乗り、風を切って走る。あの不器用な俺が、こんな幸せを手にできるなんて。

もちろん、最初は戸惑いもあった。元カレの影が、時折頭をよぎる。けれど、静香さんはいつも俺を肯定してくれる。「郷田さんが一番よ」。その言葉が、俺の自信を育てる。

今では、配達先で彼女の部屋のチャイムを押すたび、胸が温かくなる。美人JDの恋人になった、ただの配達員。それが俺の、新しい現実だ。