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「クラスのクールギャルと呼び出し×××4」

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約束を破ってしまったことが、ついに東郷さんに知られてしまった。本条さんや朝比奈さんと親密な関係を持ってしまった俺の軽率な行動が、彼女の耳に入っていたのだ。心臓が締め付けられるような緊張感に襲われながら、東郷さんとの対面を覚悟した。どんな表情で、どんな言葉で俺を責めるのだろう。いや、ひょっとしたら冷たく突き放されるかもしれない。そんな不安が頭をぐるぐると巡った。

ところが、実際に会った東郷さんは、驚くほど普段通りの態度だった。いつもと同じ柔らかな笑顔、穏やかな声。まるで何も知らないかのように、彼女は他愛もない話を振ってくる。「ねえ、最近忙しかった?」「この前のお店、また行きたいね」と、まるで日常の延長のような会話が続く。俺は拍子抜けしながらも、どこかで彼女の真意を探ろうと身構えていた。東郷さんのこの落ち着きは、嵐の前の静けさに違いない――そう思わずにはいられなかった。

そんな中、突然、東郷さんが意外な提案をしてきた。「ねえ、週末、ちょっと遠出しない? 一泊でさ、温泉とかどうかな?」彼女の目はキラキラと輝いていて、まるで純粋な楽しみの誘いのように見えた。だが、俺の心はざわついた。こんな状況で、なぜ彼女はそんな誘いをしてくるのか? 何か裏があるのではないか? 疑心暗鬼になりながらも、断る理由を見つけられず、俺は「う、うん、いいよ」と曖昧に頷いてしまった。

週末、言われるがままに東郷さんと連れ立って、彼女が予約していたという温泉旅館へ向かった。車窓から見える秋の紅葉が、まるで俺の複雑な心境を映し出すように色鮮やかに広がっていた。旅館に到着すると、落ち着いた雰囲気のロビーと、ほのかに漂う温泉の香りに少しだけ心がほぐれた。東郷さんは相変わらず楽しげで、チェックインを済ませると「部屋、楽しみだね!」と笑顔で俺の手を引いた。その自然な仕草に、俺は一瞬、彼女の真意を見失いそうになった。

部屋に入ると、窓の外には静かな庭園が広がり、遠くで山々が夕焼けに染まっていた。畳の香りと、湯気の立つ温泉の話で盛り上がる東郷さんを見ていると、まるで何もなかったかのような錯覚に陥る。だが、心のどこかで、彼女がこの旅行に何か特別な意図を持っているのではないかという疑念が消えなかった。

夕食の時間になり、二人で食卓を囲んだ。地元の食材を使った料理が並び、東郷さんは楽しそうに箸を動かしながら、昔の思い出話や最近の出来事を語った。俺もつられて笑顔で相槌を打ったが、内心では彼女の次の行動を待っていた。そして、食事が終わり、部屋に戻ったとき、ついにその瞬間が訪れた。

東郷さんは静かに俺の目をじっと見つめた。その瞳には、いつもの優しさとは異なる、どこか鋭い光があった。「ねえ、俺くん」と、彼女の声は静かだが、どこか重みがあった。「本条さんや朝比奈さんとのこと、知ってるよ。」その言葉に、俺の心臓は一瞬止まったかのように感じた。彼女は微笑みを崩さなかったが、その笑顔の裏に、俺には計り知れない感情が隠れているように思えた。

「でも、怒ってるわけじゃないよ」と、彼女は続けた。「ただ、ちゃんと話したかっただけ。こうやって、二人きりで。」その言葉に、俺はほっとすると同時に、彼女の深い思いやりと、どこか強い意志を感じた。東郷さんは、俺が予想していたような怒りや非難ではなく、もっと大きな何か――信頼や絆を取り戻すための時間を、この旅行に込めていたのかもしれない。

その夜、温泉に浸かりながら、俺は自分の行動を振り返った。東郷さんの真っ直ぐな気持ちに、どう応えるべきか。彼女がこの旅行を通じて何を伝えようとしているのか、ゆっくりと考え始めた。