「そして今日も弄ばれる4〜山キャンプ編〜」
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凪は大学に入学して間もない頃、純真無垢な心を持った18歳の新入生だった。明るく素直な性格で、誰からも愛される存在だった彼女だが、サークルで出会った軽薄な先輩たちに心を揺さぶられ、次第に彼らの影響下に置かれるようになっていた。彼女の純粋さが、彼らの気まぐれな遊び心を引き寄せてしまったのかもしれない。
そんなある日、凪が所属するアウトドアサークルが主催する山でのキャンプ合宿がやってきた。秋の涼しい風が吹く中、色づき始めた山々を背景に、仲間たちと自然を満喫するはずの楽しいイベントだった。しかし、凪にとっては、どこか落ち着かない時間でもあった。サークルの先輩たちは、彼女に「もっと目立って盛り上げてよ」と笑いながら、派手なデザインのアウトドアウェアを押し付けた。明るいオレンジとピンクの派手なジャケットに、動きやすさを重視した短めのズボン。普段の凪なら絶対に選ばないような、目を引く服装だった。「これ、ちょっと恥ずかしいよ…」と呟く彼女に、先輩たちは「大丈夫、似合ってるって!」と軽い調子で返すだけだった。
キャンプ場に到着すると、テント設営やバーベキューの準備で賑わう中、凪は先輩たちに促されて山の散策に出かけた。色とりどりの落ち葉が敷き詰められた山道を歩きながら、彼女は自然の美しさに少し心を和ませていた。木々の間を抜ける風の音、遠くで聞こえる小鳥のさえずり。都会の喧騒から離れ、こんな静かな場所に来るのは初めてだった。それでも、派手な服装のせいで、どこか周囲の視線を意識してしまう。彼女の心には、楽しみたい気持ちと、どこか不安な気持ちが交錯していた。
散策中、凪はふと立ち止まり、木々の隙間から見える山の稜線を眺めた。その時、後ろから軽快な笑い声が聞こえてきた。振り返ると、30代前半くらいの男性3人組がこちらに向かって歩いてくる。スーツではなくカジュアルなアウトドアウェアを着ているが、どこか都会的な雰囲気を漂わせる彼らは、会社の同僚でキャンプに来ているようだった。「お、めっちゃ目立つ服着てるね! モデルさんみたいだな!」と、一人が気さくに声をかけてきた。凪は照れ笑いを浮かべながら「いえ、そんな…サークルで着せられただけなんです」と答えたが、彼らの目はどこか好奇心に満ちていた。
男性たちは「せっかく山に来たんだから、いい写真撮ろうよ」と提案し、凪を囲むように近づいてきた。彼らの軽いノリに、凪は断りきれず、笑顔で応じることしかできなかった。カメラを構える男性たちの後ろで、サークルの先輩たちが遠くから笑いながら見ている。凪は、どこかでこの状況が自分をまた新しい「遊び」の渦に巻き込んでいくのではないかと感じていた。それでも、彼女は笑顔を崩さず、目の前の出来事に流されるままだった。
男性たちとの会話は次第に弾み、彼らは凪にキャンプファイヤーの話や山の夜景の美しさについて語り始めた。「今夜、俺たちのテントで星空見ながら話さない? 絶対楽しいよ」と誘われ、凪の心は揺れた。純粋な好奇心と、知らない人たちとの距離感に戸惑う気持ちが交錯する。彼女は、サークルの仲間たちから離れてこんな風に過ごすことに、どこか危険な魅力も感じていた。
夕暮れが近づくにつれ、山の空気はひんやりと冷たくなり、キャンプ場には焚き火の温かな光が灯り始めた。凪は、男性たちとの会話に引き込まれながらも、心のどこかで「このままでいいのかな」と自問していた。彼女の純粋さは、こんな時でもまだ輝いていたが、同時に、彼女を惑わす周囲の視線や言葉が、彼女の心を少しずつ揺さぶり続けていた。

