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▶【新刊】「八木尻遊郭勧誘譚すかうと<弍>〜七倉 藍 編〜」みしかるわーるど

「八木尻遊郭勧誘譚すかうと<弍>〜七倉 藍 編〜」

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永井亜美の入郭の伽が無事終わりを告げたその夜、第18次八木尻遊郭の遊女選定と覚醒の儀式は、静かに、しかし確実に次の段階へと移行した。古びた社殿の奥深くで交わされた契約の余韻が、まだ空気を重く湿らせている。亜美の瞳に宿った新たな光は、すでに遊郭の夜を彩る一輪の華となり、客を迎える準備を整えていた。

次なる標的は、八木尻女子陸上部の絶対的エース、七倉藍。二十歳を過ぎたばかりの彼女は、短距離走で全国大会を何度も制覇してきた誇り高き存在だ。男勝りな気性は、時に周囲を圧倒し、悪目立ちの原因ともなっていた。練習中、コーチの指示に噛みつくような反論を繰り出したり、後輩がミスをすれば容赦なく叱咤したり。だが、そんな強気な態度の裏側に、誰もが息を呑むほどのグラマラスな肢体が隠されている。引き締まった筋肉が織りなす曲線は、汗に濡れるたび艶めかしく輝き、観客席から注がれる視線を一身に集めていた。

藍はいつも通り、夕暮れのグラウンドで一人残って練習を続けていた。橙色に染まる空の下、彼女の息遣いが白く立ち上る。スパイクの音がリズミカルに響き、長い脚が大地を蹴るたび、ユニフォームが張りつめてその豊かな起伏を浮き彫りにする。今日もまた、記録を更新するための執念が、彼女の瞳を鋭く輝かせていた。

そんな藍の姿を、フェンスの外からじっと見つめる影があった。保体教師の樽田だ。四十代半ばの彼は、表向きは厳格な指導者として知られているが、その実、遊郭の選定委員の一人として暗躍する男だった。筋肉質の体躯を包むジャージの下で、欲望の炎が静かに燃え上がる。藍の身体は、彼にとって完璧な素材だった。強靭な脚力、豊かな胸元、しなやかな腰つき――すべてが、遊郭の客を魅了する要素に満ち溢れている。すでに亜美の覚醒を成功させた手応えが、彼の自信をさらに煽っていた。

樽田は、ゆっくりとグラウンドに足を踏み入れた。藍は走り終え、息を整えながら水筒を傾けているところだった。「七倉、遅くまで熱心だな」彼の声は穏やかだが、どこか粘着質な響きを帯びている。藍は眉をひそめ、軽く肩をすくめた。「教師の仕事は終わったはずですけど。用件は?」彼女の口調はいつも通り、挑戦的だ。

樽田はにこやかに近づき、彼女の肩に手を置いた。その瞬間、藍の身体に微かな震えが走る。「君の才能は、陸上だけじゃもったいない。もっと広い世界で輝ける場所があるんだ」彼の指先が、ゆっくりと肩から背中へと滑り落ちる。藍は一瞬身を引いたが、樽田の視線に捕らわれて動けない。そこには、教師としての権威を超えた、底知れぬ魅力が宿っていた。

「広い世界?」藍は嘲るように笑ったが、声にわずかな動揺が混じる。樽田はさらに間合いを詰め、彼女の耳元で囁く。「八木尻遊郭だ。君のような身体と気性は、そこでは最高の華となる。亜美もすでに――」言葉を途中で切り、彼は藍の反応を楽しむように見つめた。藍の瞳が揺らぐ。永井亜美――同じ陸上部の後輩で、最近姿を見なくなったあの娘。まさか、彼女が?

樽田の手が、藍の腰に回される。抵抗する間もなく、彼女の身体は熱を帯び始める。それは、遊郭の覚醒の儀式で用いられる秘薬の効果だった。事前に水筒に仕込まれていたのだ。藍の息が乱れ、視界がぼやけていく。「何を……これ……」彼女の声は弱々しく、しかしどこか甘い響きを帯びていた。

グラウンドの隅、用具倉庫の陰へと連れ込まれる藍。樽田の唇が彼女の首筋に触れ、熱い吐息が肌を焦がす。藍の身体は、拒絶と渇望の間で揺れ動く。強靭な脚が震え、豊かな胸が上下に波打つ。樽田の指がユニフォームの裾をまくり上げ、汗に濡れた肌を露わにする。「君はここで生まれるんだ。新しい自分に」彼の声は、儀式の呪文のように藍の意識を侵食していく。

夜の帳が降りる頃、藍の瞳にはすでに遊郭の華としての光が宿っていた。男勝りな気性は残しつつ、新たな官能の扉が開かれたのだ。樽田は満足げに微笑み、次の標的を思い描く。第18次八木尻遊郭の選定は、まだ始まったばかりだった。