『鍛えませ斗真くん!! -痩せませ斗真くんシリーズ 2-』




『鍛えませ斗真くん!! -痩せませ斗真くんシリーズ 2-』
ステージ裏の失態と、突きつけられた通告
大手芸能事務所に所属する斗真(とうま)は、甘いルックスと豊かな表現力で人気を集める若手舞台俳優だ。しかし、彼には大きな弱点があった。それは、極度の体力不足と、驚くほどの「もやしっ子」体質であること。長時間の激しい舞台パフォーマンスになると後半でスタミナ切れを起こし、ダンスのキレが一気に落ちてしまうのだ。
ある日、話題の大型ミュージカル『炎の騎士伝』の主演オーディションに見事合格した斗真だったが、プロデューサーから厳しい条件を突きつけられる。
「主演の騎士役には、重厚な甲冑を着こなす圧倒的な筋肉とスタミナが必要だ。今のままのヒョロヒョロな体では降板してもらう」
崖っぷちに立たされた斗真のもとに派遣されたのは、事務所でも「鬼」と恐れられている専属フィットネストレーナー兼マネージャーの凛(りん)だった。
凛は運動生理学の学位を持つ肉体改造のプロフェッショナルで、無駄のない引き締まったプロポーションと、凛としたクールな美貌を持つ女性だ。
「いい? 斗真くん。次の舞台初日までに、あなたのそのなよなよした体を完璧に鍛え上げてみせるわ。覚悟しなさい!」
こうして、崖っぷちアイドル・斗真と、鬼マネージャー・凛による、二人きりの極秘肉体改造合宿がスタートした。
山奥の合宿所と、重なる鼓動
舞台稽古の合間を縫って訪れたのは、携帯の電波も届きにくい山奥のトレーニング施設。ここで二人の24時間密着スパルタ指導が始まった。
「ほら、あと10回! 肘をしっかり曲げて、胸筋を意識して!」
汗だくになりながらベンチプレスに挑む斗真。限界を迎えてバーベルを持ち上げられそうにない斗真に対し、凛は後ろからぴったりと寄り添い、彼の腕や肩に手を添えてフォームを補助する。
間近で感じる凛の真剣な眼差し、ふわりと香るシトラスのフレグランス、そして自分を必死にサポートしてくれる彼女のしなやかで温かい体温。苦しいはずのトレーニング中にもかかわらず、斗真の鼓動は運動とは別の理由で跳ね上がっていた。
「凛さん……近いです……っ」
「バカなこと言ってないで息を吐く! 体幹をブレさせない!」
クールに言い放つ凛だったが、日を追うごとに斗真の表情が変わっていくことに気づいていた。最初は泣き言ばかり言っていた斗真が、どんなに過酷なメニューでも凛の期待に応えようと、歯を食いしばって喰らいついてくる。汗に濡れた前髪から覗くまっすぐな瞳や、日増しに引き締まっていく胸元や腕のラインに、凛の胸の奥も不意に甘く痺れるようになっていた。
(私……なんでこんなに彼の成長に胸が熱くなっているの……?)
ただの「仕事対象」だったはずの斗真が、凛の中で特別な存在へと変わり始めていた。
スポットライトの下で、交わした約束
数ヶ月後、ついに『炎の騎士伝』の初日公演を迎えた。
楽屋の鏡の前に立つ斗真の姿は、以前のなよなよとした面影など微塵もなかった。着厚な甲冑衣装を見事に着こなし、力強く引き締まった肩幅と胸板、そして何より溢れんばかりの自信と男らしさを纏っていた。
袖で出番を待つ斗真のもとへ、凛が静かに歩み寄る。
「完璧よ、斗真くん。今のあなたなら、間違いなく最高の騎士になれるわ」
凛が誇らしげに微笑むと、斗真は彼女の手をしっかりと握りしめた。トレーニングで培われた大きな手のひらの力強さに、凛は息をのむ。
「ここまで来られたのは、全部凛さんが俺を鍛え続けてくれたおかげです。……俺、この舞台が大成功したら、凛さんに伝えたい『本当の想い』があります」
「え……?」
「だから、客席の一番前で、俺の男姿を最後まで見届けてください」
力強い眼差しで告げられた言葉に、凛の頬が赤く染まる。斗真は爽やかに笑うと、大歓声が響くステージへと颯爽と飛び出していった。
観客を魅了する力強いダンスと迫真の演技。スポットライトを浴びて輝く斗真の圧倒的な佇まいに、凛は胸が締め付けられるほどの愛おしさを覚えていた。
終演後、満員のカーテンコールを終えた斗真は、楽屋裏で待っていた凛を迷わず強く抱きしめた。
「鍛え上げてくれてありがとう、凛さん。これからは……俺があなたを守る『騎士』にならせてください」
二人の特別なトレーニングから始まった恋は、最高の舞台の幕開けとともに、新しく甘い物語へと動き出したのだった。
『鍛えませ斗真くん!! -痩せませ斗真くんシリーズ 2-』
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