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【感想レビュー】「群青モラトリアム」べってぃが描く愛と痛みの青春群像劇。アダルトコミックとしての刺激と、青春ドラマとしての深みを兼ね備えた一冊。

はじめに

こんにちは、エロ漫画好きの皆さん!
今日は、アダルトコミック界に新風を吹き込む作家・べってぃのデビュー単行本『群青モラトリアム』をじっくりレビューしていきたいと思います。この作品は、キャッチコピー「この恋が叶わないなら、俺の手でー。」が示す通り、切なくも激しい感情が渦巻く青春の一瞬を切り取った作品集。愛と痛みが交錯するストーリーと、べってぃ独特の感性が光る一冊です。さあ、一緒にその魅力を紐解いていきましょう!

べってぃの初単行本、その鮮烈な第一歩

『群青モラトリアム』は、べってぃにとって初めての単行本であり、彼の「初期衝動」とも呼べる情熱が詰まった作品集です。収録されているのは全7編(デジタル特装版では描き下ろしを含めて8編)。どれもが青春時代特有の脆さと衝動をテーマに描かれており、アダルトコミックというジャンルでありながら、単なるエロティシズムを超えた深い感情が描かれています。
作者自身がXで「メンヘラ男×かわいい女の陵辱の可哀想なお話多めです。純愛だと思うな」と語っているように、この作品は純粋なラブストーリーを期待すると少し肩透かしを食らうかもしれません。しかし、その代わりに得られるのは、人間の心の闇や欲望、そして愛情が歪んだ形で現れる瞬間をリアルに描いたドラマです。読後は爽快感よりも、どこか胸が締め付けられるような感覚が残りますが、それがこの作品の魅力でもあるんですよね。
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表題作「恋情のほころび」の衝撃

まず最初に触れたいのは、単行本の冒頭を飾る「恋情のほころび」。幼馴染である悠人と庵の関係がメインとなるこの話は、まさに『群青モラトリアム』のテーマを象徴する一編です。いつも一緒に過ごしてきた二人。悠人は庵に秘めた恋心を抱きながらも、関係が壊れることを恐れて告白できずにいます。そんなある日、庵が「彼氏ができた」と告げたことで、悠人の感情は爆発。嫉妬と執着から、庵を無理やり押し倒してしまう衝撃的な展開が待っています。
このシーン、正直言って読んでいて心がざわつきました。悠人の行動は決して許されるものではないし、庵の気持ちを考えるとやりきれなさが募ります。でも、べってぃの描き方がすごいのは、悠人の内面を丁寧に掘り下げている点。嫉妬や独占欲といった負の感情が、彼の純粋な愛情と混ざり合って暴走していく過程がリアルなんです。読者としては「やめてくれ!」と思いながらも、どこか彼の苦しみに共感してしまう。そんな複雑な気持ちにさせられるのが、この作品の力だと思います。

多様なキャラクターと関係性の描き方

『群青モラトリアム』の魅力は、表題作だけでなく、他の収録作品にも広がっています。例えば、「想いきり」では不登校の生徒とそのことを心配する同級生の関係が描かれ、「懸想のロンド」では不良と風紀委員という対照的な二人の歪んだ絆がテーマに。どの話も「愛」という一言では片付けられない、複雑で生々しい人間関係が描かれています。
特に印象的だったのは「君と痛みを分かち愛たい」。この作品は、傷つけ合うことでしか繋がれない二人の関係が痛々しくも美しく描かれていて、読んでいて胸が締め付けられました。そしてデジタル特装版には、この話の後日談「続・君と痛みを分かち愛たい」が30ページも収録されているんです!本編で描かれた関係性がどう変化していくのか、描き下ろしならではの深みが加わっていて、ファンにはたまらないボーナスコンテンツですね。

べってぃの描く「愛と痛み」のバランス

べってぃの作品全体を通して感じるのは、愛と痛みが表裏一体であるという視点です。どのキャラクターも、純粋に相手を想う気持ちがある一方で、それが時に暴力や支配といった形で現れてしまう。特に男性キャラクターのメンヘラ気質が強く、彼らの不安定な精神がストーリーを加速させていくんですよね。一方で、女性キャラクターはそんな彼らに振り回されつつも、どこか芯の強さを感じさせる存在として描かれています。
このバランスが絶妙で、ただの陵辱ものとは一線を画しています。アダルトコミックとしての刺激的な要素はもちろんあるんですが、それ以上に感情の動きや心理描写に重きが置かれているのが特徴。読んでいて「これはエロいだけじゃないな」と感じる瞬間が何度もありました。べってぃの描くキャラクターたちは、みんなどこか欠けていて、だからこそ愛おしく思えるんです。

ビジュアルとストーリーの融合

ストーリーだけでなく、べってぃの作画もこの作品の大きな魅力の一つ。キャラクターの表情や仕草が細かく描かれていて、特に感情が爆発するシーンでの迫力は圧巻です。たとえば「恋情のほころび」で悠人が庵を押し倒す場面では、彼の狂気じみた目つきと、庵の戸惑いと恐怖が入り混じった表情が対比的に描かれていて、読む者の心に強く残ります。
また、アダルトシーンもただ扇情的なだけでなく、ストーリーにしっかり組み込まれているのが好印象。行為そのものよりも、その前後の心理描写や関係性の変化に焦点が当てられているので、読後感が重くなりすぎないのもポイントです。べってぃの絵柄は、柔らかさと鋭さが共存していて、それがこの作品のテーマにぴったり合っているなと感じました。

デジタル特装版の価値

ここで少し、デジタル特装版についても触れておきましょう。通常版でも十分楽しめるんですが、特装版には「続・君と痛みを分かち愛たい」が収録されているのが大きな違い。この描き下ろしは、本編で描かれた二人の関係がどう進展していくのかを補完する内容で、30ページというボリュームもあって読み応え抜群です。
個人的には、本編だけだと「あの後どうなったんだろう?」とモヤモヤが残る話もあったので、この後日談はファンにとって嬉しいサプライズ。デジタル版ならではの手軽さもあるので、迷っている方はぜひ特装版を手に取ってみてください。価格差を考えても、その価値は十分ありますよ!

『群青モラトリアム』の総評とおすすめポイント

さて、長々と語ってきましたが、『群青モラトリアム』の総評をまとめてみます。この作品は、アダルトコミックとしての刺激と、青春ドラマとしての深みを兼ね備えた一冊。べってぃのデビュー作とは思えないほど完成度が高く、彼の作家としてのポテンシャルを感じさせます。
おすすめポイントは以下の3つ。
  1. 感情のリアルさ
    愛情が歪んでいく過程や、キャラクターの脆さが丁寧に描かれていて、共感と反発の両方を味わえる。
  2. 多彩なストーリー展開
    幼馴染、不登校生、不良と風紀委員など、様々な関係性が楽しめるので飽きがこない。
  3. 描き下ろし特典
    デジタル特装版の「続・君と痛みを分かち愛たい」は、本編をさらに深く楽しむための隠し味。
ただし、陵辱要素やメンヘラな展開が苦手な人には少し重く感じるかもしれません。逆に、そういう生々しい感情のぶつかり合いが好きな人にはたまらない作品だと思います。

最後に:べってぃの次回作にも期待!

『群青モラトリアム』は、べってぃという作家の第一歩として鮮烈な印象を残す一冊でした。愛と痛み、青春と衝動が交錯するこの作品を読んで、改めて人間関係の複雑さや脆さについて考えさせられましたね。アダルトコミックという枠を超えて、感情に訴えかける力を持った作品だと思います。
べってぃの今後の活躍にも注目です。この感性と表現力がさらに磨かれていけば、次回作はもっとすごいものになるんじゃないかとワクワクしています。皆さんもぜひ『群青モラトリアム』を手に取って、べってぃの世界に浸ってみてください。読んだ感想をコメントで教えていただければ嬉しいです。それでは、また次のレビューでお会いしましょう!