「かくしごと×初デート -デカ女上司と元チャラ男の後輩くん#2-」



「かくしごと×初デート -デカ女上司と元チャラ男の後輩くん#2-」
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八乙女艶子、32歳。穏やかで少し控えめな性格の彼女は、これまで恋愛とは無縁の人生を歩んできた。いわゆる「年齢=彼氏いない歴」という状況を、彼女自身は特に気にせず、淡々と日々を過ごしていた。そんな艶子の生活に、初めて彩りを添えたのが、職場の後輩である遊馬三弥、25歳だった。
三弥は職場でも一際目を引く存在だ。整った顔立ちに、誰に対しても分け隔てない明るい笑顔。仕事では細やかな気配りと的確な判断力を発揮し、同僚や上司からの信頼も厚い。そんな彼が、ある日、艶子にさりげなく「今度、休日に一緒に食事でもどうですか?」と声をかけてきた。それが二人の関係の始まりだった。突然のことに戸惑いつつも、艶子の心は高鳴った。これが、彼女にとって初めての「彼氏」との時間だったのだ。
初デートの日、艶子はいつもより少しだけ丁寧に身支度を整えた。淡いベージュのワンピースに、控えめなアクセサリー。鏡の前で何度も深呼吸を繰り返し、緊張を抑え込んだ。待ち合わせ場所の小さなカフェで三弥と合流した瞬間、彼の柔らかな笑顔に、艶子の心はほぐれた。カフェでの会話は、仕事の話題から始まり、好きな本や映画、休日の過ごし方へと自然に広がっていった。三弥の話す声は穏やかで、時折見せる茶目っ気のある表情に、艶子は思わず笑顔になっていた。初めてのデートは、まるで長年の友人のように心地よく、時間があっという間に過ぎていった。
そんな穏やかなひとときを過ごしていた二人だったが、デートも中盤に差し掛かった頃、街角で思わぬ出来事が起きた。三弥が「え、久しぶり!」と声を上げ、若い男性に駆け寄ったのだ。相手は三弥の大学時代の友人で、偶然この街で再会したのだという。友人は気さくに挨拶を交わし、艶子にも笑顔で会釈してくれた。しかし、その短い会話の中で、艶子は三弥の知られざる一面を垣間見た。友人が「相変わらずお前、変わんねえな!」と笑いながら語ったエピソードは、三弥の学生時代が意外と破天荒だったことを匂わせるものだった。普段の彼からは想像もつかない、ちょっとやんちゃな過去。艶子は驚きつつも、どこかそのギャップに心を惹かれた。
その後も、デートを重ねるごとに、三弥の新たな一面が次々と明らかになっていく。たとえば、彼が実は料理が得意で、休日には手の込んだパスタやスイーツを作ること。あるいは、子供の頃に飼っていた犬の話をするときの、どこか懐かしそうで少し寂しげな表情。そんな彼の意外な一面を知るたびに、艶子は彼への興味を深めていった。一方で、恋愛経験のない自分に自信が持てず、時折不安になることもあった。「こんな素敵な彼に、私でいいのかな」と。
しかし、三弥はそんな艶子の不安を察するかのように、いつも自然体で接してくれた。彼のさりげない優しさや、ふとした瞬間に見せる真剣な眼差しに、艶子は少しずつ心を開いていった。二人は一緒に過ごす時間を重ねながら、互いの心の距離を縮めていく。時にはぎこちなく、時には笑い合いながら、互いを理解しようと努力する日々。それは、艶子にとって初めての恋愛であり、成長の物語でもあった。
やがて二人は、互いの存在がかけがえのないものだと気づき始める。完璧に見えた三弥の意外な一面も、艶子の不器用な心も、すべてを受け入れ合うことで、二人の絆はより深まっていった。経験豊富な後輩と、恋愛初心者の先輩。それぞれの違いを乗り越え、心を通わせる純粋な愛の物語が、そこにはあった。

