PR

▶【新刊】「行き遅れ231歳ちょろエルフ戦線」STUDIOふあん

「行き遅れ231歳ちょろエルフ戦線」

無料サンプルはこちら ▶
 

 

 

 

 

 

======================================

ゴブリン=オーク帝国の猛攻が、人類連合を未曽有の危機に追い込んでいた。大地は焦土と化し、かつての豊かな村々は灰と化した残骸だけが残る。絶望が広がる中、希望の光が差し込んだ。エルフ王国が、ついに人類連合に加勢を表明したのだ。エルフの魔法戦士たちは、その優れた戦闘力と精緻な魔法で戦場を一変させた。ゴブリン=オーク軍の進軍は各地で食い止められ、戦線は一進一退の膠着状態に突入。両陣営は互いに息を潜め、戦力の立て直しと反撃の機会を伺っていた。

そんな中、ある戦線をほぼ単独で支えていたエルフの戦士が、エルフ王国への一時帰還を決めた。彼女の名はエンフィスオール、182歳。長い金髪と鋭い翠の瞳を持つ彼女は、戦場での勇猛さで知られていたが、プライベートでは独身を貫いてきた。かつては結婚を夢見たこともあったが、戦乱の世と自身の使命感から、その望みは心の奥深くに封じ込めていた。

だが、運命は彼女に予想外の展開をもたらした。私、アパム――かつて別の世界で生き、転生によってこの世界にやってきた男――との出会いが、彼女の人生を一変させたのだ。私は戦場でエンフィスオールと共闘する中で、彼女の強さだけでなく、内に秘めた優しさや孤独を知った。やがて二人の間には絆が生まれ、彼女は私の子を身ごもった。そして、婚約。エンフィスオールは新たな命を育むため、故郷のエルフ王国へ里帰りすることとなった。

一方、私は新たな任務に身を投じた。エンフィスオールの従姉妹であるベルツハント(231歳)の戦闘従者として、戦線に残ることを選んだのだ。ベルツハントは、エルフの中でも特に長寿で、戦士としての経験と知恵を兼ね備えた女性だった。彼女の外見は若々しく、銀色の髪と静かな微笑みが印象的だが、その瞳には数多の戦場を生き抜いた重みが宿っていた。彼女もまた、長い年月を独身で過ごしてきた。エルフの社会では、231歳での独身は珍しく、周囲からは「行き遅れ」と揶揄されることもあったが、ベルツハントは意に介さず、戦士としての誇りを胸に生きてきた。

私がベルツハントの従者となったのは、彼女が新たな戦線で援軍を必要としていたからだ。彼女の戦闘スタイルは、エンフィスオールとは対照的だった。エンフィスオールが疾風のような剣技で敵を圧倒するのに対し、ベルツハントは魔法と戦略を駆使し、敵の動きを封じる緻密な戦いを得意とした。彼女の指揮の下、私は戦場で生き延びる術を学び、時には彼女の冷静な判断に救われた。

戦場での日々は過酷だったが、ベルツハントとの会話は私に新たな視点を与えてくれた。ある夜、焚き火を囲みながら、彼女は静かに語った。「エルフの長寿は祝福でもあり、呪いでもある。愛する者を何度も見送り、戦場で仲間を失ってきた。それでも、私は戦い続ける。誰かを守るために」と。彼女の言葉には、孤独と決意が混在していた。私は、エンフィスオールとの未来を胸に、ベルツハントと共に戦う意味を見出した。彼女の強さは、ただ剣や魔法にあるのではなく、心の深さにあったのだ。

戦線は依然として厳しく、ゴブリン=オーク帝国の反攻が迫っていた。私はベルツハントと共に、戦場へと身を投じる。エンフィスオールが故郷で新たな命を育む中、私は彼女の従姉妹と共に、人類とエルフの未来を守る戦いに挑むのだった。