「彼女はまだ18cm以上(デカチン)を知らない」
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荻原啓生、18歳。名門大学を目指す予備校に通う彼は、毎日の勉強に追われながらも、心のどこかで特別な想いを抱いていた。その相手は、同じ予備校に通う野々川結だった。結は明るく優しい笑顔と、誰とでも自然に話せる気さくな性格で、周囲から愛される存在。啓生にとって、彼女は遠くから眺めるだけでも心が弾む、特別な人だった。ある日、勇気を振り絞った啓生は、放課後の静かな教室で結に思いを告げた。緊張で声が震えたが、結の柔らかな笑顔と「私も、実は啓生のこと気になってた」との言葉に、胸が熱くなった。こうして二人の交際が始まった。
交際が始まった当初、啓生は有頂天だった。結と手を繋いで歩く帰り道や、勉強の合間に交わすささやかな会話が、彼の日常を彩った。しかし、予備校の厳しいスケジュールは変わらず、勉強漬けの日々が続く。デートといっても、カフェで参考書を広げながらお互いの解答をチェックし合う程度。結との時間は幸せだったが、啓生の心には、若さゆえの焦りが芽生え始めていた。「もっと結と深い関係になりたい」。そんな衝動が、静かに、だが確実に積もっていく。
ある週末、二人は少し背伸びをして、初めて二人きりで長い時間を過ごすことを決めた。緊張と期待が入り混じる中、二人だけの空間で過ごした時間は、啓生にとって忘れられないものとなった。ぎこちないながらも、互いを思いやる気持ちが深まり、二人は心から通じ合えたと感じた。この経験は、啓生と結の絆をさらに強いものにした。日常に戻っても、結のちょっとした仕草や笑顔に、啓生はますます心を奪われた。二人は勉強の合間に将来の夢を語り合い、時には他愛もない冗談で笑い合う。結の存在が、啓生の単調な予備校生活に温かな光を灯していた。
しかし、そんな幸せな日々に影が差す出来事が起きた。結は予備校の合間に、カフェでアルバイトをしていた。そこには、結が「頼りになる」と話していた先輩の御堂がいた。御堂は20代半ばで、落ち着いた雰囲気と巧みな話術で、バイト仲間からの信頼も厚い人物だった。ある日、啓生と結が二人で過ごした特別な時間を、偶然にも御堂に目撃されてしまう。それだけならまだしも、御堂は二人が親密な時間を過ごす姿を写真に収めていた。後日、結がバイト先で御堂からその写真を見せられたとき、彼女の顔から血の気が引いた。「これ、啓生くんとだよね? どういうつもり?」御堂の口調は穏やかだったが、その言葉にはどこか冷ややかな響きがあった。
結は動揺しながらも、啓生にそのことを打ち明けた。啓生は一瞬頭が真っ白になったが、すぐに怒りと不安が込み上げてきた。「なぜそんな写真を撮った? 御堂の目的は何だ?」二人は話し合い、御堂の行動の背景を探ろうとした。結は「御堂さんは普段優しいけど、どこか掴みどころがない」と語り、啓生は御堂に対する不信感を募らせた。二人の関係はまだ始まったばかりで、こんな試練に直面するとは思ってもみなかった。だが、この出来事は、啓生と結がお互いの気持ちを改めて確認するきっかけにもなった。「どんなことがあっても、結と一緒に乗り越えたい」。啓生の言葉に、結は小さく頷き、ぎゅっと手を握り返した。
この先、御堂の行動が二人の関係にどんな影響を与えるのか、啓生にはまだわからない。それでも、結と過ごす時間が彼に勇気を与えていた。予備校の試験や将来への不安、そして突然の試練。18歳の二人は、初めての恋を通じて、愛と信頼の意味を少しずつ学んでいくのだった。

