『真面目なキミにハマるカラダ2』
前半:整然とした世界に現れた、不確定要素
市役所の戸籍課で働く理人(りひと)は、職場でも有名な超が付くほどの真面目人間だ。毎朝定刻の15分前にはデスクにつき、寸分の狂いもない正確さで書類を処理する。彼の日常は、綿密に組まれたスケジュールとルールによって美しく保たれていた。
そんな理人の完璧な世界に突然飛び込んできたのが、隣の部署に中途採用で配属されてきた真尋(まひろ)だった。
真尋は理人とは正反対のタイプだ。明るく社交的で、少し大雑把。だが、彼女には不思議な魅力があった。それは、圧倒的な健康美と、見ているこちらまで元気になるようなしなやかなスタイル、そして何より感情がまっすぐに表に出る素直さだった。
ある日、地域の大型イベントの準備で、二人は残業をすることになる。黙々とパソコンに向かう理人の横で、真尋は大きなあくびを噛み殺しながらストレッチを始めた。
「理人さんって、本当に隙がないですよね。背筋もピシッとしてて、ロボットみたい」
真尋がクスッと笑いながら、理人のデスクの端に腰を掛ける。その瞬間、彼女の身のこなしの軽やかさや、ほのかに漂うフレッシュな香りが理人の五感を刺激した。理人は調整中のエクセルシートから目を離さず、務めて冷静に返した。
「業務時間内ですから。正確性と効率を求めれば、自ずと姿勢も整います」
「ふーん。じゃあ、業務外なら……少しは崩れてくれるんですか?」
耳元で囁かれた不意打ちの言葉に、理人のキーボードを打つ手がピタリと止まった。見上げると、真尋が少し悪戯っぽい、けれどどこか真剣な瞳で自分を見つめていた。
中盤:予期せぬトラブルと、重なる距離
残業が終わり、二人は一緒に役所の裏手にある駐車場へ向かった。しかし、運悪く突然の土砂降りに見舞われてしまう。雨宿りのため、二人は近くにある小さな高架下の雨よけスペースへと駆け込んだ。
狭い空間の中、否応なしに距離が縮まる。雨で少し濡れた真尋の髪から滴が落ち、彼女の綺麗な鎖骨のラインを伝っていく。理人は慌てて視線を逸らそうとしたが、真尋の健康的で引き締まった体のラインや、呼吸に合わせてかすかに上下する胸元に、どうしても心が乱されてしまう。
普段なら決して乱れることのない自分の鼓動が、早鐘のように打ち鳴らされていた。
「理人さん、すごく顔が赤いですよ? 寒いですか?」
そう言って、真尋が心配そうに理人の額に手を伸ばした。ひんやりとした彼女の指先が理人の肌に触れた瞬間、理人の頭の中の「論理的思考」が吹き飛んだ。
「違います……寒さのせいではありません」
「じゃあ、どうして?」
真尋は逃がさないと言わんばかりに、理人のジャケットの裾をキュッと掴んだ。真面目すぎるがゆえに恋愛に対して奥手で、自分の感情を完璧にコントロールしてきた理人。しかし、目の前にある真尋の圧倒的な存在感と魅力に、理性の堤防が決壊しかけていた。
「君の……せいです。君がそんな風に、警戒心もなく近づいてくるから……」
理人は意を決して、真尋の手首を優しく、けれど解けない強さで掴み返した。
後半:引き寄せられる心と体
言葉を失った真尋の瞳が、驚きと興奮で揺れる。いつもの「お堅い理人さん」の面影はなく、そこには一人の男性として真尋をまっすぐに見つめる強い視線があった。
「真面目な理人さんが、そんな顔するなんて……ずるいです」
真尋は頬を染めながらも、自ら理人の胸元に体を預けた。互いの体温が雨の冷たさを消し去っていく。理人は腕を回し、真尋のしなやかな背中をしっかりと抱きしめた。服越しにも伝わる彼女のプロポーションの美しさと柔軟さに、理人の胸の奥が甘く、激しく痺れていく。
真面目に生きてきた自分が、こんなにも誰かの存在そのものに翻弄され、強く惹きつけられるなんて思いもしなかった。真尋の存在は、理人にとってどんな複雑な計算式よりも解き明かしたい、魅惑的な謎となっていた。
雨が小降りになり、夜の街灯が二人を照らし出す。
「私、もっと理人さんの『真面目じゃない部分』、知りたいな」
真尋が耳元で甘く囁くと、理人は彼女の腰をさらに固く抱き寄せ、静かに答えた。
「後悔しても知りませんよ。私の計画には、もう君を離す予定はありませんから」
ルールと規律で固められた理人の世界が、真尋という強烈な光と色彩によって、完全に塗り替えられようとしていた。二人の不器用で、けれど情熱的な恋の扉が、静かに開いた瞬間だった。
『真面目なキミにハマるカラダ2』
.

