『彼女はまだ18cm以上(デカチン)を知らない2』
静かなプラネタリウムと、届かない光
都内の大手建築設計事務所で店舗デザイナーとして働く青年・神谷 陸(かみや りく)は、真面目で穏やか、そして周囲の観察力に長けた男でした。
彼には、同じデザインチームで働く大切な同僚がいました。空間プランナーの女性・白川 葵(しらかわ あおい)です。葵は洗練されたセンスと朗らかな笑顔を持ち、職場の誰もから信頼される存在でした。
二人は数々の大型プロジェクトを共に成功させてきた最高のビジネスパートナーであり、プライベートでも休日に二人で美術館や建築見学へ出かけるほど親しい間柄でした。
しかし、葵は「まだ知らない」ことがありました。
それは、陸がオフィスで葵に見せる優しい眼差しや、さりげないサポートのすべてが、単なる「頼れる同僚」としての親切ではなく、一人の女性に対する深く切ない恋心から来ているのだということを。
「神谷さんって、本当に最高のパートナーですよね。何でも相談できるお兄さんみたい!」
無邪気に笑う葵の言葉に、陸は切なさを噛み締めながら「ああ、光栄だよ」と静かに微笑むことしかできませんでした。
夜景のテラスと、すれ違う視線
二人は新しくオープンする複合施設の展望カフェのプロデュースを担当することになり、連日遅くまで打合せを重ねます。
「コラボルール:最高の空間を作るため、互いのデザイン思想を完璧に共有すること」
ある夜、現地調査を兼ねて訪れた展望テラスで、二人は都心の夜景を見上げていました。冷たい夜風が吹き抜ける中、陸は自分が羽織っていたジャケットをそっと葵の華奢な肩にかけます。
「あ……神谷さん、すみません。ありがとうございます」
ジャケットから漂う上品なウッディの香りと、ほんのり頬を染める葵の可憐な横顔。手と手が触れそうになる至近距離で、陸の心臓は激しく打ち鳴らされます。
「葵さん……もし僕が、ただの同僚以上の存在になりたいって言ったら、どうする?」
陸の言葉は、テラスを吹き抜ける強い風の音にかき消されてしまいました。
「え? 神谷さん、何か言いました?」
「……ううん、なんでもないよ。寒くなってきたから、中に入ろうか」
陸は自分の臆病さにため息をつき、葵もまた、胸の奥で理由のわからない小さなときめきが芽生えていることに、まだ気づいていませんでした。
破られた図面と、初めての涙
プロジェクトの最終コンペ直前、クライアントからの急な仕様変更が入ります。徹夜で修正作業を進める葵でしたが、疲労からデータ入力のミスを犯してしまい、大事なプレゼン資料が白紙に戻ってしまうトラブルが発生しました。
「私のせいで……みんなの努力を台無しにしてしまった……っ」
責任感の強さから自責の念に駆られ、誰もいなくなった会議室で一人肩を震わせて泣く葵。
そのとき、ドアが開いて陸が駆け込んできました。陸は責める言葉ひとつ口にせず、すぐさま自分のPCを開き、葵のミスをフォローするための代替案を提示し始めたのです。
「葵さん、泣いている暇はないよ。僕が半分引き受ける。絶対にプレゼンに間に合わせよう」
「神谷さん……どうして、そんなに私に優しくしてくれるの……?」
泣きじゃくる葵の手を、陸はぎゅっと力強く握り締めました。
「君が命がけで頑張ってきたのを、一番近くで見てきたからだよ」
徹夜の作業を経て、二人のプロジェクトは見事にコンペで勝利を収めました。
雨上がりの坂道と、解き明かされる秘密
コンペの打ち上げが終わり、雨上がりの街を二人で並んで歩く帰り道。
葵は足を止め、陸の背中を見つめながら静かに問いかけました。
「神谷さん……私、ずっと考えていたの。どうして神谷さんは、いつでも私の欲しい言葉や助けを、完璧なタイミングでくれるんだろうって」
陸が振り返ると、葵は真剣な眼差しで彼を見つめていました。
「私、気づいたの。神谷さんが私を見てくれていた時間も、私に向けられた優しさの本当の意味も……私、何も分かっていなかったんだって」
陸の胸の奥で、長年抑え込んできた情熱のタガが外れました。陸は葵の元へ歩み寄り、彼女の華奢な肩を両手で強く掴みました。
「気づいていなかったなら、今伝えるよ。葵さん……僕は仕事のパートナーとして君を助けていたんじゃない!」
雨上がりの街灯が二人を照らす中、陸は真実の告白を響かせました。
「僕は……白川葵という一人の女性が、ずっと前からたまらなく大好きだったんだ! 君の特別な男になりたくて、ずっと隣にいたんだ!」
陸の魂からの言葉に、葵の瞳から大粒の涙が零れ落ちました。しかし、それは後悔の涙ではなく、溢れる愛おしさの涙でした。
「神谷さん……ううん、陸くん……っ! 遅くなってごめんなさい……っ! 私も……ずっと陸くんのことが好きだった……っ!」
葵は自分から陸の胸へと強く飛び込みました。陸は彼女の身体を抱きしめ、二人はこれまでのすれ違いや遠慮をすべて吹き飛ばすように、深く熱い誓いのキスを重ね合わせました。
最高のハッピーエンドへ
それから数ヶ月後。
陽光が優しく差し込む新しいオフィスで、仲良く並んで新しい店舗の図面を広げる陸と葵の姿がありました。
「ねえ陸くん、私が次に何を言いたいか……わかる?」
「ふふ、もちろんだよ葵。『今夜のご飯は何にしようか』でしょ?」
「当たり! もう……私以上に私のことを知ってるんだから♪」
悪戯っぽく微笑み合い、そっと手を繋ぎ合う二人。
「彼女はまだ知らない」から始まった二人の恋は、お互いのすべてを知り尽くした最高の絆となり、永遠の愛としてどこまでも続いていくのです。
『彼女はまだ18cm以上(デカチン)を知らない2』
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