はじめに
稲鳴四季氏の最新作『いやらしいこの娘たちは突かれたい。』(ヒット出版社刊)は、ファン待望の7年ぶりの単行本として2024年12月にリリースされたアダルトコミックだ。表紙に描かれた豊満なボディを持つ女子高生たちの誘惑的な姿と、「オジの性欲、ナマで出していいよ」という刺激的な惹句が目を引く本作は、稲鳴氏の持ち味である濃厚なエロティシズムとキャラクターの魅力が詰まった一冊となっている。全7話を収録し、特に「姪JKと、2人暮らし。何も起きないはずがなく… 前後編」を含むストーリーは、読者を禁断の関係性と情熱的な展開で引き込む。本レビューでは、各収録作品の魅力や特徴、そして稲鳴四季という作家の視点から本作を徹底的に掘り下げていく。
稲鳴四季の作家性と本作の位置づけ
稲鳴四季氏は、2014年の初単行本『放課後交配ノート』以来、濃厚なエロスとハーレム要素を織り交ぜた作品で知られている。『彼女たちの学性アルバム』や『女子校生受精カタログ』など、女子高生を中心とした大胆なシチュエーションと実用性を重視した作風が特徴だ。7年ぶりの新刊となる本作では、これまでの路線を継承しつつも、より洗練されたストーリーテリングとキャラクター描写が光る。特に、日常と非日常の境界を越えた関係性や、積極的なヒロインたちの行動が強調されており、読者に新たな興奮を提供している。裏表紙の「彼女たちのふくらみは世の男を幸せにしてくれる」という言葉は、稲鳴氏の描く女性像そのものを象徴していると言えるだろう。
▼無料サンプルはこちら
収録作品レビュー
1. 快カツ☆GALS
本作の冒頭を飾る「快カツ☆GALS」は、漫画喫茶を舞台に、ストレス解消を求める中年男性が2人の女子高生に絡まれる展開から始まる。彼女たちの奔放な態度と挑発的な行動が、読者を一気にエロティックな世界へ引き込む。稲鳴氏特有の肉感的な作画が冴えわたり、ヒロインたちの柔らかな曲線と表情が際立つ。特に、「おじさん一緒にイこ…!」というセリフから始まるクライマックスは、実用性重視のシーンとして完成度が高い。ストーリー性は控えめだが、その分ビジュアルとシチュエーションで読者を満足させる一編だ。
2. ドキドキ☆見られたgirl
「ドキドキ☆見られたgirl」は、空き教室での秘密の行為がテーマ。友胡というキャラクターが裏垢の画像を見せつけられ、2人の男子生徒との過激なプレイに発展する。稲鳴氏の描くヒロインは、受け身ではなく自ら状況をリードする傾向があり、この作品でもその特徴が顕著だ。フェラから始まる展開は、やや突飛な流れながらも、緊張感と興奮を同時に味わえる。読者としては、ヒロインの積極性がどこまでエスカレートするのかを見守る楽しさがある。
3-4. 姪JKと、2人暮らし。何も起きないはずがなく… 前後編
本単行本の目玉とも言える「姪JKと、2人暮らし。何も起きないはずがなく…」は、前後編にわたる長編で、姉の娘である女子高生との同居生活を描く。主人公が「何も起きないはずがない」と自覚しつつも、姪の積極的なアプローチに流されていく過程は、禁断の関係性を描く稲鳴氏の得意分野だ。前編では関係のきっかけと葛藤が丁寧に描かれ、後編では一線を越えた後の濃密なセックス三昧の日々が展開される。ヒロインの無邪気さと大人の魅力が交錯する描写は、感情移入を誘う一方で背徳感を刺激する。このエピソードは、単なるエロスを超えたドラマ性も感じさせる力作だ。
5. くるみ割りレモン
「くるみ割りレモン」は、ややコミカルなトーンで始まるが、すぐに濃厚な展開へと移行する。タイトルが示唆するように、硬い殻を破るようなヒロインの内面と肉体的な解放がテーマだ。短編ながらもキャラクターの個性が際立ち、稲鳴氏のストーリー構築力が見て取れる。プレイ内容も多様で、読者を飽きさせない工夫が感じられる。
6. ファイト!みんなのチアリーダー
チアリーダーを題材にした「ファイト!みんなのチアリーダー」は、明るく元気なヒロインが一転して大胆な行動に出るギャップが魅力。応援する立場から一気に肉体的な関係へと進む展開は、現実離れしているものの、その非現実性が逆に読者の妄想をかき立てる。チアリーダーというモチーフを活かしたコスチューム描写も見どころだ。
7. bitter sweet virgin
最終話「bitter sweet virgin」は、処女をテーマにしたビター&スイートな物語。タイトル通り、甘さとほろ苦さが混在するストーリーが特徴で、他の収録作に比べて感情的な深みがある。ヒロインの初々しさと、それを受け止める相手との関係性が丁寧に描かれており、単なるエロティシズムを超えた余韻を残す。この一編で単行本を締めくくることで、全体に一本の軸が通った印象を与えている。
作画とエロティシズムの魅力
稲鳴四季氏の作画は、すっきりとした線と豊満な肉体表現が特徴的だ。本作でも、ヒロインたちのふくらみや柔らかな肌の質感が細やかに描かれ、視覚的な満足度が高い。特に、行為中の表情や体の動きにリアリティを持たせることで、実用性を重視する読者層に訴えかける。また、コマ割りや構図にも工夫が見られ、単調になりがちなシーンにリズムを与えている。例えば、「姪JKと、2人暮らし。」では、感情の高ぶりを強調するアップショットと、全身を見せる引きの構図が効果的に使われており、ストーリーの流れを視覚的に補完している。
テーマと読者へのメッセージ
本作全体を通じて感じられるテーマは、「積極的な女性」と「禁断の関係性」だ。稲鳴氏の描くヒロインたちは、受け身ではなく自ら欲望を追求する存在として描かれる。これは現代的な女性像を反映しているとも言え、単なるファンタジーに留まらない深みを与えている。また、「オジの性欲」というフレーズが示すように、年齢差や立場を超えた関係性が繰り返し描かれており、読者に背徳感と解放感の両方を味わわせる仕掛けとなっている。
あとがきで稲鳴氏は、「読んでくれる人と作中のヒロイン達が全員ハッピーになれるような作品を」と語っており、その言葉通り、本作は読者とキャラクター双方への愛情が感じられる。7年というブランクを経てなお、作家としての情熱と技術が衰えていないことを証明する一冊だ。
総評
『いやらしいこの娘たちは突かれたい。』は、稲鳴四季の作家性を存分に味わえるアダルトコミックだ。濃厚なエロティシズムと魅力的なヒロインたち、そして禁断のシチュエーションが織りなす物語は、実用性を求める読者はもちろん、ストーリー性を重視する層にも訴えかける。特に「姪JKと、2人暮らし。」の前後編は、本作のハイライトとして強く印象に残る。7年ぶりの新刊という期待を裏切らない完成度を持ちつつ、新たな挑戦も垣間見える本作は、稲鳴ファンにとって待望の一冊であり、新規読者にも十分に楽しめる内容だ。エロスとドラマのバランスが絶妙で、読み終えた後も余韻が残る作品として高く評価したい。
🔽無料サンプルはこちら
.