「シザーズ 〜不同意性交犯罪撲滅協会・東雲神楽〜」
「シザーズ 〜不同意性交犯罪撲滅協会・東雲神楽〜」
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夜の街に潜む影。欲望に駆られ、女性たちに強引に迫る者たちがいる。彼らは法の目をかいくぐり、被害者たちの声なき叫びを闇に葬り去ってきた。しかし、その闇に立ち向かう一人の女性がいた。彼女の名は東雲神楽（しののめ・かぐら）、28歳。不同意性交犯罪撲滅協会に所属する孤高の仕置き人だ。神楽は、被害を受けた人々の心に寄り添い、正義の刃を振るう。その姿は、まるで夜を切り裂く一筋の光のように、希望を求める者たちを照らし出す。
物語の舞台は、現代日本の大都市。ネオンの光が瞬く繁華街の裏路地や、静寂に包まれた住宅街の片隅で、許されざる行為が密かに行われている。被害者たちは恐怖と羞恥に縛られ、声を上げることもできずにいる。そんな中、神楽は協会の密かなネットワークを通じて、被害者たちのSOSをキャッチする。彼女の手元に届く情報は、匿名の手紙や暗号化されたメッセージ。そこには、助けを求める切実な声が込められている。
神楽は、元刑事という異色の経歴を持つ。かつては法の枠組みの中で正義を追求していたが、硬直した司法制度では救えない人々がいることを痛感し、協会に身を投じた。彼女の武器は、鋭い観察力と、相手の心理を読み解く洞察力。そして、必要とあれば、武術の心得を活かして対象者を制圧する。だが、彼女の真の強さは、被害者の心に寄り添い、彼らが再び立ち上がる力を与えることにこそある。
今宵も、神楽は闇夜に紛れて動き出す。今回の標的は、富裕層の裏社会で暗躍する男。表向きは実業家として振る舞いながら、裏では複数の女性に暴力を振るい、口封じのために金や権力を振りかざしてきた。神楽は、彼の行動パターンを緻密に分析し、証拠を集める。協会の協力者であるハッカー、彩花（あやか・25歳）が、男の不正な取引や隠された記録を暴き出す。一方、被害者の一人である美咲（みさき・22歳）は、神楽の励ましを受け、初めて自分の体験を口にする勇気を持つ。
物語のクライマックスでは、神楽が男の豪奢な別荘に潜入する。そこでは、男が新たな被害者を追い詰めようとしていた。神楽は冷静に状況を見極め、男を追い詰める。激しい対峙の末、彼女は男を制圧し、被害者を救出。男は後日、協会が集めた証拠をもとに、法の裁きを受けることになる。だが、神楽の戦いは終わらない。彼女は知っている。闇は尽きず、救いを求める声はまだどこかで響いていることを。
本作は、東江ヒビキによる渾身の最新作。被害者の心の傷と向き合いながら、正義を貫く神楽の姿は、読者に深い感動と勇気を与える。彼女の戦いは、単なる復讐ではない。それは、傷ついた人々が再び希望を見出せるよう、寄り添い続ける闘いなのだ。異なる背景を持つ登場人物たちが織りなす人間ドラマと、息をのむアクションシーンが交錯する本作は、現代社会の闇に一石を投じる力作だ。