「生意気な後輩ちゃんと10年後には結婚してた」



「生意気な後輩ちゃんと10年後には結婚してた」
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生意気な後輩ちゃんとの学生時代は、まるでジェットコースターのような日々だった。彼女は一つ下の学年で、いつもキラキラした目で俺をからかってきた。文化祭の準備で遅くまで教室に残り、飾り付けのセンスを巡って言い争った夜。「先輩、ダサすぎ!私がやりますよ」と彼女が笑いながら画用紙を奪い、結局一緒に笑い合った。部活の試合後、汗だくでベンチに座る俺に、彼女がペットボトルを投げつけて「ほら、先輩、気合い入れなよ!」とニヤリ。その生意気な態度にイラッとしつつ、彼女の無邪気な笑顔に心がざわついた。放課後、教室の窓辺で他愛もない話をする時間が増えるにつれ、彼女の意外な優しさや真剣な表情に惹かれている自分に気づいた。彼女が「先輩、バカだけど嫌いじゃないよ」と冗談めかして言ったとき、ドキッとしたのを今でも覚えている。卒業式の日、彼女が「先輩、置いてかれないように頑張ってね」と笑顔で手を振った。あの言葉が、なぜか胸に深く刻まれた。
10年後の今、信じられないことに、あの生意気な後輩ちゃんと結婚している。朝、彼女がキッチンでハミングしながら作るトーストの香りが家中に漂う。週末はソファで寄り添い、懐かしい映画を見ながらダラダラ過ごすのがお決まりだ。「相変わらずトロいね、先輩」と彼女は笑うけど、その声には愛情が滲む。ある日、昔のアルバムを引っ張り出して学生時代の写真を見ながら、彼女が「先輩、私のことあの頃から好きだったでしょ?」と得意げに言う。俺は「んなわけない」と誤魔化すが、彼女の鋭い視線にバレバレだ。彼女の生意気さは少し丸くなったけど、芯の強さとキラキラした笑顔はあの頃のまま。休日に一緒にスーパーへ行き、彼女が「これ、絶対先輩の好み!」とカゴに入れるお菓子を見ると、細かな気遣いに胸が温まる。時折、学生時代の思い出話で盛り上がり、彼女の「先輩、昔から私のペースに巻き込まれてたよね」という言葉に、俺は苦笑いしながら頷く。あの頃の振り回される感覚は、今も変わらない。でも、彼女と築いたこの穏やかで幸せな日常は、10年前の俺には想像もできなかった宝物だ。彼女に振り回されながら、これからも一緒に笑い合いたい。

