PR

『1K3万まんこ付き物件─203号室』武者サブ【むしゃぶる】

『1K3万まんこ付き物件─203号室』

▶ 無料サンプルはこちら

 

 

 

 

 

 

===================

あれはもう三ヶ月前か。仕事がなくなって、貯金も底をつきかけてた頃だ。ネットの怪しい掲示板で見つけた「家賃3万円・即入居可・1K・咲蓮荘203号室」って書き込み。あきらかに安すぎるけど、他に選択肢もなかった。内見もなしで契約書にサインして、鍵を受け取った。

古い木造二階建てのアパートは、駅からバスで三十分、さらに歩いて十五分。コンビニすら遠い、都心の端っこみたいな場所だった。外壁は剥げてて、階段はギシギシ鳴る。廊下の電球は半分切れてて、薄暗い。まあ三万円だもんな、なんて自分に言い聞かせながら203号室の鍵を開けた。

部屋は予想通り狭くて、古い。フローリングは所々浮いてて、キッチンは錆びだらけ。でも壁に、でかい穴が開いてるのにはさすがに驚いた。直径五十センチくらいの、ぽっかり空いた穴。コンクリじゃなくてベニヤ板だから、誰かが蹴り抜いたような跡だった。管理人に文句言おうかと思ったけど、連絡先は「緊急時のみ」って書いてあるだけだし、めんどくさくなってそのままにした。

その夜は疲れてたから、コンビニ弁当食べてすぐ寝ちまった。

翌日の夕方、スーパーから帰ってくると、なんか空気が違った。部屋が、妙に甘い匂いがする。そして壁の穴の前に、明らかに「何か」が突き出てる。

最初は夢かと思った。

白い、むっちりした女の尻が、穴からこっち側に突き出されてる。黒のレースの下着が食い込んでて、腰のラインがくっきり浮いてる。太ももは健康的な肉付きで、膝のあたりまで見える。足は向こう側だから、立ってるのか座ってるのかわからない。ただ、ぴくりとも動かず、ただそこに差し出されてるだけだった。

「……おい、マジかよ」

声が裏返った。

隣の部屋の住人が、こんなことしてるってこと? 壁に穴開けて、わざわざ尻だけこっちに出してくるって、どういう状況だよ。頭の中がぐるぐる回ったけど、結局「三万円でこれはお得なんじゃねえか」って結論に落ち着いた。貧乏ってのは人の倫理観を簡単に溶かす。

近づいて、恐る恐る手を伸ばす。指先が触れた瞬間、向こう側で小さく身震いした気がした。でも逃げようとはしない。それどころか、ちょっと腰を揺らして、もっと触ってくれって,って言ってるみたいだった。

温かかった。柔らかかった。信じられないくらい滑らかな肌で、触れば触るほど夢中になった。最初は「本当にいいのかよ」って罪悪感もあったけど、五分もすればそんなの吹っ飛んでた。だって向こうも嬉しそうなんだもん。息づかいが壁越しに聞こえて、時々小さく漏れる声が、もう完全に「もっと」って意味だった。

それからというもの、毎晩のようにその尻は現れるようになった。時間はだいたい夜の十時過ぎ。俺が帰ってくると同時に、穴からゆっくりと突き出されてくる。まるで「おかえり」って言ってるみたいに。

下着の色は日替わりだったりする。月曜は白、火曜は赤、水曜は黒のTバック、とか。たまにストッキング履いてたり、ガーターベルトだったりして、こっちがドキドクする。触り方もだんだん大胆になって、叩いたり、揉みしだいたり、しまいには顔を埋めてしまった日もある。向こうは一度も拒否しない。それどころか、俺が激しくなるほど喜んでる感じが伝わってくる。

名前も知らない。顔も見たことない。声だって、壁越しに聞こえる息づかいと小さな喘ぎだけ。でもそれで十分だった。っていうか、それが逆に良かったのかもしれない。余計なこと考えなくていいから。

ある夜、いつもより遅く帰った日。もう十二時過ぎだったと思う。鍵を開けて部屋に入ると、いつもの場所に、今日はピンクのサテンの下着を履いた尻が待ってた。でもなんか様子が違う。いつもは静かに突き出されてるだけなのに、その日は小刻みに震えてて、腰が少し上下に動いてる。

「……もう、待ってた?」

そう呟いたら、向こう側でかすかに「うん」って声がした気がした。

それが初めて聞いた、ちゃんとした言葉だった。

それから俺は、もう完全にこの生活にハマっちまった。三万円で、こんな幸せが手に入るなんて思ってもみなかった。隣の人の事情も、顔も、名前も、知らなくていい。知ったら、きっと何か壊れちまうから。

咲蓮荘203号室。壁に穴が開いた、最高の部屋だ。

たまに、昼間ふと思う。向こう側にも、きっと俺と同じように訳ありで、ここに流れ着いた誰かがいるんだろうなって。でもそれを確かめる気はない。だってこのままでいいんだもん。

毎晩、決まった時間に現れるその尻が、俺の帰りを待ってるって思うだけで、明日もなんとか生きていける気がする。

三万円で買える幸せって、案外こんな形なのかもしれないな。