PR

▶【新刊】「人妻陰陽師サクヤ 闇計篇」昇竜安井会

「人妻陰陽師サクヤ 闇計篇」

無料サンプルはこちら ▶

 

 

 

 

「人妻陰陽師サクヤ 闇計篇」

▶ 続きはこちら

 

 

 

 

 

=============================

古来より続く陰陽道の秘伝を守り抜く一族に生まれた賀茂咲夜は、史上最強の陰陽師としてその名を轟かせていた。黒髪を長く伸ばし、凛とした佇まいの彼女は、常に白い狩衣を纏い、腰に差した古い呪符の束を携えていた。幼少の頃から厳しい修行を積み、妖力の制御を極めた咲夜は、どんな禍々しい存在も一瞬で封じるほどの力を持っていた。彼女の瞳は、夜の闇を映すように深く澄み、敵対する者を見据えるだけで、その妖気を萎えさせるという。

この世とあの世の狭間に位置する禍門――それは、妖魔たちが人間界に侵入するための忌まわしい門戸だ。古い京都の山奥にひっそりと佇むその門は、満月の夜にだけ微かに輝き、異界の気配を放つ。数多の陰陽師が挑んできたが、門から溢れ出る妖魔の群れに飲み込まれ、命を落とす者が後を絶たなかった。しかし、咲夜は違った。彼女は禍門の前に立ち、静かに呪文を唱えるだけで、無数の妖魔を寄せ付けなかった。炎の如き妖力が迸り、門の縁を青白い光で覆い尽くす。妖魔たちはその光に触れるや否や、灰となって消え失せた。村人たちは彼女を「無敵の守護者」と崇め、遠方からさえも助けを求める者が絶えなかった。

ある夏の夜、いつものように禍門の監視に赴いた咲夜は、穏やかな風に包まれていた。月明かりが木々の葉を銀色に染め、遠くで虫の音が響く中、彼女は門の前に座り、瞑想に耽っていた。妖力の流れを確かめ、万一の侵入に備える日常の儀式だ。ところが、その静寂を破るように、禍門が不気味に震え始めた。普段の妖魔とは異なる、粘つくような闇の渦が渦巻き、ゆっくりと一つの影が姿を現した。それは、優美な女性の輪郭を模した存在――淫魔と呼ばれる、人の心を惑わす稀有な妖怪だった。

咲夜は即座に立ち上がり、呪符を放った。青い光の矢が淫魔の胸を貫くはずだった。しかし、驚くべきことに、妖力は霧散し、淫魔の周囲で無力に散った。淫魔は嘲るように微笑み、ゆっくりと近づいてくる。その姿は、絹のような長い髪をなびかせ、透き通るような白い肌を持ち、瞳には妖しい輝きが宿っていた。咲夜の妖力が効かない理由は不明。彼女の力はあらゆる妖魔を退けるはずなのに、この淫魔だけは例外だった。淫魔の吐息が咲夜の頰を撫でるように近づき、甘い香りが彼女の意識を微かに揺らがせた。咲夜は歯を食いしばり、後退しながら新たな呪文を試みたが、すべて空振りに終わった。

その瞬間、咲夜は初めての敗北感を味わった。無敵の陰陽師として生きてきた彼女にとって、これは衝撃だった。淫魔は囁くように語りかけた。「お前の力は、強すぎるがゆえに脆い。心の隙を突けば、容易く崩れるのだ」。咲夜の過去が脳裏に蘇る。幼い頃、家族を失った悲しみ、孤独に耐え抜いた日々。それらが、淫魔の力によって呼び起こされ、彼女の妖力を蝕み始めた。禍門の闇が深まり、周囲の森が不気味にざわめく中、咲夜は必死に抵抗した。古い巻物から得た秘術を思い出し、自身の血を呪符に染めて放つ。ようやく淫魔の動きが止まったが、完全な封印には至らず、淫魔は門の奥へと姿を消した。

この出来事は、咲夜の運命を一変させた。以後、彼女は淫魔の謎を解く旅に出ることを決意。禍門の秘密を記した古文書を探し、盟友である老陰陽師や、意外な協力者たちと出会う。無敵の仮面の下に隠された彼女の内面的な葛藤が、次第に明らかになっていく。果たして、咲夜は妖力が効かない淫魔を打ち破れるのか? それとも、自身の心の闇に飲み込まれてしまうのか?

星野竜一 渾身の新シリーズ第一弾!

妖魔と陰陽師の壮大な戦いを、息をのむ詳細描写で描くファンタジー大作。

伝統と革新が融合した世界観に、あなたも没入せよ!