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▶【新刊】「絶対に目をあわせてくれない心々那さん〜教え子はメンエス嬢〜」Cior

「絶対に目をあわせてくれない心々那さん〜教え子はメンエス嬢〜」

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「絶対に目をあわせてくれない心々那さん〜教え子はメンエス嬢〜」

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薄暗い自宅のアパートに、教師の佐藤悠斗は深いため息をつきながらソファに沈み込んでいた。長編小説のような教員生活の疲れを癒そうと、初めてメンズエステを呼ぶことにしたのだ。築30年のボロアパートは壁のシミが目立ち、どこか寂れた雰囲気が漂う。それでも、今日くらいは自分を甘やかしたかった。予約の時間になり、インターホンが鳴る。ドアを開けると、そこに立っていたのは見覚えのある顔――佐藤が勤める学校の生徒、霧島心々那だった。

心々那は18歳。学校では一際目立つ存在だ。彼女は地元で有名な女性だけのバイクチーム「レディース」の特攻隊長を務める、いわゆる「不良」と呼ばれる生徒だった。黒いライダースジャケットに、鋭い目つき。長い黒髪を無造作に束ね、いつもどこか遠くを見ているような雰囲気がある。教室でも、教師や他の生徒と目を合わせることはほとんどない。彼女の視線はいつも、自分の愛車であるバイクか、遠くの地平線に向けられているようだった。

「心々那…さん? なんでここに?」

佐藤は驚きを隠せず、思わず声を上げた。心々那は一瞬だけ佐藤を見たが、すぐに視線を床に落とし、小さく舌打ちした。

「…せんせー、余計なこと言わないでよ。仕事、始めていい?」

彼女の声はぶっきらぼうで、まるで感情がこもっていない。それでも、佐藤は彼女がメンズエステのスタッフとしてここにいる事実に頭を整理しきれなかった。

心々那の施術は、噂通りだった。彼女はネット上の口コミで「超無愛想」「NG事項だらけ」と酷評されていた。佐藤が事前に見たレビューには、「マッサージは悪くないけど、会話が皆無」「まるでロボットみたい」と書かれていた通り、彼女の手つきは丁寧だが、どこか機械的だった。施術中、心々那は一言も話さず、ただ黙々と手を動かす。彼女の頭の中は、おそらく愛車の改造パーツや、次のツーリングの計画でいっぱいなのだろう。佐藤はそんな彼女の横顔を盗み見ながら、複雑な気持ちを抱えた。

心々那がこんな仕事をしている理由は、すぐに察しがついた。彼女の愛車――カスタムされた真紅のバイク――は、彼女のすべてと言っても過言ではない。部品の交換や改造には莫大な費用がかかる。学校では決して見せない、バイクを語る時の彼女の目は輝きに満ちている。きっと、その夢を追いかけるために、彼女はこの仕事を始めたのだ。

施術が終わり、心々那が片付けを始めると、突然彼女が口を開いた。

「せんせーだけ、特別なサービス、いいよ?」

その言葉に、佐藤は一瞬目を丸くした。彼女の声には、いつもの無愛想さに加えて、ほんの少しの照れが混じっているように感じられた。

「特別なサービスって…?」

佐藤が恐る恐る尋ねると、心々那は再び視線を逸らし、頬をわずかに赤らめた。

「…バイクの話、聞いてくれるなら、ちょっと長めにマッサージしてやるよ。せんせー、バイクのこと、嫌いじゃないでしょ?」

佐藤は驚きながらも、彼女の提案に心が動いた。心々那がバイクについて話す時、彼女の声には普段の無愛想さが消え、情熱が溢れ出す。学校では決して見せないその姿に、佐藤は教師として、ひとりの人間として、彼女のことをもっと知りたいと思った。

「いいよ。じゃあ、心々那のバイクの話、じっくり聞かせてくれ」

佐藤がそう言うと、心々那の口元に、ほんの一瞬、笑みが浮かんだ。それは、彼女が初めて見せた、わずかな温かみのある表情だった。

その夜、ボロアパートの一室は、バイクのエンジン音やカスタムパーツの話で満たされた。心々那の声は次第に熱を帯び、彼女の視線は佐藤と交錯することはなかったが、その言葉には彼女の夢と情熱が詰まっていた。佐藤は、そんな彼女の姿に、教師としてだけでなく、ひとりの人間として心を動かされた。彼女の背負うもの、追い求めるものを、少しだけ理解できた気がした。