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【最高】『保体の時間〜×××で上手に気持ちよくなれないので補習授業をお願いします〜』おもちフライ屋さん

『保体の時間〜×××で上手に気持ちよくなれないので補習授業をお願いします〜』

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第一章:放課後の体育館と、すれ違うステップ

海を見下ろす高台にある大学のキャンパスは、放課後になると部活動やサークルの活気で満ちあふれていた。教育学部に通う大学生の和樹(かずき)は、体育科目の指導法を学ぶ実技講義で大きな悩みを抱えていた。それは、後期の必修課題である社交ダンスのペアワークだった。
昔から運動全般は得意で、陸上競技や球技なら人並み以上にこなせる和樹だったが、音楽に合わせてパートナーと息を合わせ、細やかなステップを踏むダンスだけはどうしても苦手だった。自分の足がどちらへ動くべきか分からなくなって相手の足を踏んでしまったり、リズムに乗り遅れてぎこちない動きになってしまったりするのだ。
そんな和樹のパートナーを務めることになったのは、同じ講義を受講している舞衣(まい)だった。彼女は幼い頃からクラシックバレエを嗜んでおり、優雅で洗練された身のこなしは受講生の中でも群を抜いていた。華やかで凛とした雰囲気を持つ舞衣に対し、和樹は自分の不器用さが申し訳なく、ペアを組むたびに緊張で体が強張ってしまうのだった。
講義の終わり、講師から次の実技試験についての説明があった。
「次回の試験までに、規定のステップを完全にマスターしておくように。合格点に達しない場合は単位に影響します」
焦りを募らせる和樹に、舞衣が優しく声をかけてきた。
「和樹くん、もしよかったら、放課後の体育館で補習授業をしない?私がステップを教えるから」
和樹は驚きつつも、切実な思いで頭を下げた。
「本当にいいのか?僕のせいで舞衣さんの練習時間を奪ってしまうのは申し訳ないけれど……ぜひお願いします」
こうして、誰もいなくなった夕暮れの体育館で、二人だけの特別な補習授業が始まることになった。
大きな窓から橙色の夕日が差し込み、フロアを長く伸ばした影が彩る。響き渡るカウントの声と、床を擦るシューズの音。舞衣の指導は丁寧で的確だった。
「力を抜いて、私の視線に合わせてみて。手で引っ張るんじゃなくて、背中から相手の動きを感じるの」
舞衣の教え通りに体を動かそうとするが、距離が近づくたびに和樹の心臓は激しく高鳴り、余計に足元がおぼつかなくなる。舞衣のほのかな甘い香りや、指先から伝わる温もりが、和樹の集中力を乱していた。
「あ、すみません!」
またしてもステップを乱し、舞衣の足を踏みそうになった和樹は慌てて身体を引いた。
「大丈夫、慌てないで。和樹くんは真面目すぎるのよ。もっと私を信頼して、身を委ねてくれればいいのに」
舞衣はいたずらっぽく微笑みながら、和樹の手を握り直した。その瞳に映る自分の姿を見て、和樹は自分が単にダンスに苦戦しているだけでなく、彼女という存在そのものに強く惹かれているのだと自覚せざるを得なかった。

第二章:重なる手と手、小さな秘密の特訓

補習授業が始まってから二週間が経過した。二人は講義が終わるたび、誰もいない講義室や小体育館に集まり、練習を重ねていた。
最初はギクシャクしていた和樹のステップも、舞衣の熱心な指導と和樹の努力のおかげで、少しずつ様になってきていた。リズムに合わせて自然と身体が動くようになり、舞衣の手をとる動作にも迷いがなくなっていく。
だが、二人の距離が近づけば近づくほど、和樹の胸の中には甘いときめきと同時に、切ない苦しみが広がっていた。この補習授業はあくまで「実技試験に合格するための練習」であり、試験が終わってしまえば、こうして二人きりで特別な時間を過ごす口実はなくなってしまうからだ。
「和樹くん、すごく上達したね!これなら試験もきっと大丈夫」
練習の合間の休憩時間、スポーツドリンクを飲みながら舞衣が嬉しそうに言った。
「舞衣さんのおかげだよ。根気強く付き合ってくれて、本当に感謝している」
「ふふ、お礼なんていいのよ。それに……私も、この時間が楽しかったから」
舞衣はふと視線を落とし、少し照れたように呟いた。その横顔の美しさに、和樹は思わず息をのんだ。想いを伝えたいという衝動が胸を突いたが、もし自分の気持ちを打ち明けて断られてしまったら、今の良好な関係すら壊れてしまうのではないかという恐怖が彼を思いとどまらせた。
一方の舞衣もまた、心の中に秘めた想いを抱えていた。舞衣にとって、周囲の男子学生たちはどこか自信家で軽快な人物が多かったが、和樹は自分の苦手なことに誠実に向き合い、不器用ながらも一生懸命に努力を続ける人だった。そんな彼のまっすぐな姿勢に、舞衣はいつの間にか強く惹かれていたのだ。
ある雨の日の放課後、練習を終えて体育館の庇の下で雨宿りをしていたときのことだった。激しい雨音の中、沈黙が二人を包み込む。
「明日で、最後の補習授業になるね」
舞衣が静かな声で言った。
「そうだね。明後日が試験本番だから」
「試験が終わったら……もう、こうして放課後に残って練習することもないんだよね」
舞衣の声に混ざる微かな寂しさに、和樹の心が揺れた。彼は思い切って、舞衣の表情を覗き込んだ。
「僕は……試験が終わっても、舞衣さんと一緒にいたい」
雨音にかき消されそうなほど小さな声だったが、舞衣の耳にはしっかりと届いていた。舞衣は驚いたように目を見開き、それからゆっくりと頬を染めた。
しかし、その瞬間、遠くから他の学生たちの楽しげな声が聞こえてきた。二人の間の緊張した空気は立ち消え、言葉の続きを紡ぐことができないまま、その日は解散することになってしまった。

第三章:最後のステップと、新しく始まる物語

ついに実技試験の日がやってきた。体育館には独特の緊張感が漂い、受講生たちがペアごとに最後の動作確認を行っていた。
和樹と舞衣の番が巡ってきた。中央のフロアへ進み出ると、周囲からの視線が一斉に集まる。和樹は深く呼吸をし、胸の動悸を鎮めようとした。隣に立つ舞衣が、そっと自分の手を和樹の手の上に重ねた。
「大丈夫。私たちが今まで重ねてきた時間を信じて」
舞衣のあたたかい瞳が見つめていた。和樹は力強く頷いた。
「うん。一緒に行こう」
音楽が鳴り響き始めた。エレガントなワルツのメロディに乗せて、二人は足を踏み出す。
和樹の動きには、もはや最初のぎこちなさは欠片もなかった。舞衣のリードを自然に受け止め、彼女が引き立つように力強く、かつ優雅にステップを刻んでいく。夕暮れの体育館で二人だけで繰り返した特訓の成果が、完全に体に染み付いていた。
旋回するたびに、舞衣のスカートが美しい円を描いて広がる。舞衣の笑顔が花が開くように弾けた。和樹もまた、目の前の彼女だけを見つめながら、心から踊ることの歓びを感じていた。二人の動きは完璧にシンクロし、まるで一つの生命体のように美しくフロアを滑っていった。
曲が終わりに近づき、最後のポーズを決める。和樹が舞衣の腰をしっかりと支え、舞衣がしなやかに身体を反らせた。静寂の後、体育館内に大きな拍手が沸き起こった。講師も満足そうに頷き、二人の合格は誰の目にも明らかだった。
試験が終わり、他の学生たちが教室を後にする中、和樹は体育館の裏手にある中庭で舞衣を待っていた。やがて、着替えを終えた舞衣が姿を現した。
「和樹くん、最高のダンスだったね!満点間違いなしだよ」
舞衣が弾んだ声で駆け寄ってくる。
「本当にありがとう、舞衣さん。君が諦めずに教えてくれたから、ここまで来られたんだ」
和樹は舞衣のまっすぐな瞳を見つめ返した。もう逃げたり、迷ったりするつもりはなかった。
「舞衣さん、あの雨の日に言おうとしたことの続きを聞いてほしい。僕は、上手になれない僕に根気強く付き合ってくれた君の優しさに救われた。そして、一緒に時間を過ごすうちに、君のことが好きになったんだ。補習授業が終わっても、これからはダンスのパートナーとしてではなく、僕の恋人として隣にいてほしい」
和樹の言葉に、舞衣の瞳にみるみるうちに涙が溜まっていった。しかし、それは喜びの涙だった。
「和樹くん……私もだよ。不器用でも一生懸命なあなたの姿を見るのが、ずっと好きだった。だから補習授業にかこつけて、あなたと少しでも長く一緒にいたかったの」
舞衣は微笑みながら、和樹の胸に飛び込んできた。和樹は彼女の細い肩を優しく抱きしめた。風が吹き抜け、樹々の葉がカサカサと祝福の音を奏でる。
「上手に踊れるようになったから、もう補習授業はいらないね」
和樹が優しく囁くと、舞衣は彼の胸の中で首を横に振った。
「ううん。これからは別のこと……二人で行くデートの計画とか、これからの未来のこととか、もっとたくさんの『補習授業』をお願いするつもりだから」
二人は顔を見合わせ、幸せそうに笑い合った。遠くの時計台から夕暮れを告げる鐘の音が響き渡り、新しい二人の歩みを静かに見守っていた。

『保体の時間〜×××で上手に気持ちよくなれないので補習授業をお願いします〜』

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