『クソ陰キャだけど死ぬほど陽キャな宴がしたい!』



『クソ陰キャだけど死ぬほど陽キャな宴がしたい!』
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クソ陰キャだけど死ぬほど陽キャな宴がしたい!
20XX年の12月、師走の空気がピリッと張り詰める頃だった。俺は大学のサークルでもない、ただの友人枠で忘年会を兼ねた大規模合コンを企画していた。最初は「20人くらい集まるかな」なんて軽い気持ちだったのに、なんでか学年一のイケメン・亮太が「俺も行くわ」と軽く言った途端、話が一気に膨らんだ。
女の子たちも「亮太くん来るなら!」って感じで、美人系からモデル体型の子までバンバン参加表明。男側もそれに釣られて芋づる式に増えて、気づけば総勢20人超えのメンツが決まってた。俺は内心「まじすげえ」とか思って、居酒屋の個室を押さえて、テンション爆上がりだった。
……はずだった。
当日。
開場10分前、LINEのグループが地獄みたいになってた。
亮太「ごめん、親戚の急な法事で……」
美女A「私もちょっと体調悪くて……」
美女B「ごめーん、元カレとより戻しちゃって……」
連鎖反応って怖いよな。亮太がいないとわかった瞬間、女の子たちが次々「やっぱ今日はやめとく」って抜けていって、男側も「女の子少ないなら俺も……」ってなって、結局、俺を含めて5人しか残らなかった。
残った女の子たちを見て、俺は心底へこんだ。
全員、めっちゃ地味だった。
眼鏡率100%、前髪長め、服はユニクロかGUの無難なやつ、化粧っ気ほぼゼロ。いわゆる「陰キャの鑑」みたいな子たち。俺だって陰キャのくせに、なんでか「残り物感」がすごくて、誰も目を合わせない。店に入った瞬間、空気が凍った。
「……あの、乾杯、します?」
誰かが小声で言ったけど、グラスが触れる音すら気まずくて、みんな俯いたままビール飲んでるだけ。もう帰りたい。マジで帰りたい。
そんな沈黙を破ったのは、隣に座ってた子だった。
名前は確か……佐藤さん? いや、鈴木さん? とにかく、髪をポニーテールにした小柄な子が、急に立ち上がった。
「ねえ、みんな聞いて!」
声が震えてた。でも、目だけは妙にギラついてた。
「私たち、残り物扱いされてるみたいで悔しくないですか? ……悔しいですよね?」
みんなが顔を上げる。俺もびっくりして見上げた。
「だったら、今日こそ私たちが世界一陽キャになってやりましょうよ!!」
一瞬、店内が静まり返った。
次の瞬間、誰かが「うわ、マジそれ!」って叫んで、俺含めて全員が立ち上がって拳を突き上げた。なんかもう、よくわからないけどスイッチ入っちゃったんだよ。
「じゃあ、もう飲むしかないよね!」
「一気!一気!一気!」
「負けたら罰ゲーム!」
「罰ゲームは過激なやつで!」
俺たち、完全に壊れた。
ビール一気して、日本酒ロックで追いかけて、テキーラまで頼んで、気づいたら店員さんに「他のお客様のご迷惑に……」って注意されてた。でももう止まらない。会計のとき、女の子の一人が「私が出す!」って言って、俺の分まで払ってくれた。なんかもう、泣きそうになった。
で、当然のように二次会は俺の家に移動。
俺のワンルールーム、6畳一間に5人でぎゅうぎゅう詰め。床に座布団敷いて、コンビニで買った酒とつまみ並べて、いよいよ本番。
「じゃあ、最初のゲームは……王様ゲーム!」
「罰ゲームは、えっと……ハグ!」
「いや、それじゃ甘い! ほっぺにキス!」
「もっと! 服一枚脱ぎ!」
「乳首当てゲームやろうぜ!」
女の子たち、完全に覚醒してる。眼鏡外して髪下ろして、化粧直して、急に可愛くなってる。俺、完全に置いてかれてた。
で、だんだんエスカレートしてきて……
「もう普通の罰ゲームじゃ物足りないよね」
「そうだね……じゃあ、Gスポット当てゲームにしよう」
「え、マジで?」
「マジで! 負けた人は目隠しされて、誰がどこ触ってるか当てる!」
「時間は30秒!」
「あと、負けた人は上半身裸で情熱的なキス!」
「ポルチオ当てゲームも追加!」
みんな酔ってるし、もう理性とか吹っ飛んでる。誰かが「処女なのにこんなことしていいの?」って言ったら、別の子が「処女だからこそ、今しかないじゃん!」って返して、爆笑になった。
そして、最後に決まった究極の罰ゲーム。
「じゃん負けの最終奥義……10秒だけ、本番」
一瞬、部屋が静かになった。
でも、次の瞬間。
「いいじゃん! やろうよ!」
「10秒ならセーフでしょ!」
「コンドームある?」
「俺、持ってる!」
俺、もう完全に頭おかしくなってた。
クソ陰キャだと思ってた俺たちが、こんな夜を迎えるなんて。
時計の針はもう深夜3時を回ってて、外は雪がちらついてた。
「じゃあ、始めるか……」
誰かが小さく呟いた。
俺たち五人、世界一陽キャになるための、狂おしいほど熱い夜が、今、始まった。

