「お隣ママは同人作家 ―性欲強すぎあらあらママは毎日ボクを襲って原稿のネタにする―」





「お隣ママは同人作家 ―性欲強すぎあらあらママは毎日ボクを襲って原稿のネタにする―」
第一章:静寂なマンションと、気になるお隣さん
都内の広告代理店でWEBディレクターとして働く和樹(かずき)は、新築の分譲マンションで一人暮らしを始めて半年が経っていた。
仕事に追われる忙しい日々の中で、和樹が密かに気にしていたのは、隣の部屋に住むさやかの存在だった。
さやかは上品で落ち着いた雰囲気を持つ大人の女性で、幼い娘のあかりと二人で暮らすシングルマザーだった。マンションのエントランスやエレベーターで鉢合わせるたび、彼女は優しく微笑んで「いつもお世話になっています」と丁寧にあいさつを交わしてくれた。
その可憐で清楚な佇まいと、娘に注ぐ温かい眼差しに、和樹は密かに胸を打たれ、憧れを抱いていた。
しかし、和樹には一つだけ気になっていることがあった。
それは、特定の時期になると隣の部屋から徹夜でキーボードを叩く音や、紙をカッターで切るような作業音が微かに聞こえてくること、そしてさやかが時折、目の下にクマを作りながら大きなダンボール箱を何箱も自室へ運び込んでいることだった。
(さやかさん、一体どんなお仕事をしているんだろう……?)
そんな疑問を抱いていたある週末、事態は思いがけない形で動き出した。
第二章:ダンボールの崩落と、隠された「裏の顔」
大型の同人誌即売会が目前に迫ったある金曜日の夕方。
エレベーターの前で、和樹は大量のダンボール箱を抱えてよろめいているさやかと鉢合わせした。自分の身長ほど高くて重い箱を運ぼうとしてバランスを崩し、箱が崩れ落ちそうになった瞬間、和樹は咄嗟に駆け寄って彼女の身体と箱を支えた。
「大丈夫ですか、さやかさん!?」
「あ……和樹さん! すみません、助かりました……っ!」
床に滑り落ちた一箱から、数冊の冊子が飛び出した。色鮮やかでドラマチックなイラストが描かれた冊子の表紙を見た瞬間、和樹は息をのんだ。
「これ……『アリス』先生の作品ですか!?」
和樹が驚愕の声を上げると、さやかは顔を真っ赤にして固まった。
実は、さやかには「昼は優しい母親」という顔のほかに、ネット上で絶大な人気を誇るストーリー派の創作同人作家「アリス」というもう一つの顔があったのだ。
「あ、あの……違うんです! これは……その……っ!」
動転して手先を震わせるさやかに、和樹は興奮を抑えきれずに語りかけた。
「僕、アリス先生の大ファンなんです! 繊細な心理描写と温かい絵柄が大好きで、新刊が出るたびにチェックしてて……まさか、お隣のさやかさんだったなんて!」
自分のオタク趣味や創作活動がバレて引かれると思っていたさやかは、和樹の純粋な眼差しと熱意のこもった言葉にポカンと呆気にとられた。やがて、緊張が解けたようにほっと胸を撫で下ろし、照れくさそうに微笑んだ。
「……バレちゃったら仕方ないですね。……内緒にしてくださいね、和樹さん」
ふわりと咲いた彼女の笑顔に、和樹の心臓は激しく跳ね上がった。
第三章:原稿修羅場と、手作りスープの温もり
その日をきっかけに、二人の距離は急速に縮まった。
即売会直前の「修羅場」と呼ばれる原稿作業期間中、さやかが限界を迎えていることを知った和樹は、彼女をサポートするために部屋へ通うようになった。
娘のあかりちゃんがすやすやと眠る静かなリビングで、和樹はトーン貼りや原稿の消しゴムかけ、ダンボールの梱包作業を手際よく手伝った。
「和樹さん、こんなことまで頼んでしまって……本当にごめんなさい」
深夜2時、作業の合間に淹れたての温かいスープを差し出すと、さやかは申し訳なさそうに下を向いた。徹夜続きで乱れた髪、大きめのメガネ、すっぴんの素顔。普段の完璧な「お隣のママ」の姿とは違う、無防備で一生懸命な一人の女性としての素顔。
和樹はそっと彼女の手からスープのカップを受け取り、彼女の華奢な手を両手で優しく包み込んだ。
「謝らないでください。僕、さやかさんの描く世界が大好きなんです。……それに、こうやってさやかさんの頑張る姿を一番近くで支えられるのが、心から嬉しいんです」
「和樹さん……」
真っ直ぐな言葉に、さやかの瞳からボロポロと涙がこぼれ落ちた。
シングルマザーとして一人で娘を育て、誰にも頼れずに孤独と戦いながら原稿を描き続けてきたさやか。そんな彼女の苦労や情熱をまるごと受け止め、支えてくれる和樹の温もりに、彼女の心は激しく揺さぶられていた。
さやかは涙を拭うのも忘れ、和樹の胸元にそっとおでこを預けてきた。
「ずっと……寂しかったのかもしれません。こんな風に、誰かに優しくしてもらえるなんて……」
第四章:脱稿の朝と、ふたりだけの新しいページ
無事に原稿が完成し、即売会も大盛況のうちに終わった翌週の休日。
さやかの部屋のベランダで、爽やかな秋風に吹かれながら二人は並んでお茶を飲んでいた。あかりちゃんはリビングで楽しそうにアニメを見ている。
「和樹さん、今回のイベントで新刊を出せたのは……全部和樹さんのおかげです。本当にありがとうございました」
「いいえ。素晴らしい作品を読ませてもらったのは僕の方です」
見つめ合う二人。ふと、さやかが意を決したように和樹のシャツの袖をギュッと強く掴んだ。
「あのね、和樹さん。私……自分の気持ちを物語にするのは得意なんですけど、自分の本当の気持ちを誰かに伝えるのは……すごく下手で……」
顔を真っ赤に染めながら、さやかは潤んだ瞳で和樹をまっすぐに見つめた。
「私……和樹さんのことが好きです。同人作家としての私じゃなくて、一人の女性として……和樹さんの隣にいたいです」
素直で愛おしい告白。
和樹は胸の奥から湧き上がる溢れんばかりの愛おしさを抑えきれず、さやかの華奢な肩を引き寄せ、力強く抱きしめた。服越しに伝わる彼女の温かな体温と、早鐘のように打つ二人の心臓の鼓動。
「さやかさん……僕もです。ずっと前から、さやかさんのことが大好きでした。これからは僕が、さやかさんとあかりちゃんをずっと守らせてください」
「はい……! 喜んで……!」
さやかは涙を浮かべながら幸せそうに微笑み、和樹の首元にしっかりと腕を回した。
隣同士の偶然の出会いから始まった、秘密の物語。
締め切りの向こう側に待っていたのは、どんなフィクションよりも甘く、確かな愛に満ちた未来だったのだ。
「お隣ママは同人作家 ―性欲強すぎあらあらママは毎日ボクを襲って原稿のネタにする―」
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